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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
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鎧武外伝 仮面ライダー神武

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第三章



 戦極凌馬から戦極ドライバーの修復完了の連絡をもらったその日。
 知記は一路ユグドラシルタワーへと向かっていた。
 乗ってきたダンデライナーをユグドラシルタワー屋上のヘリポートに着け、降りてそれをしまった。
 その目の前には、貴虎がいた。
「どうした、さっき葛葉と空ですれ違ったが、何かあったか?」
 その腰にはゲネシスドライバーとメロンエナジーロックシードが装着されていた。
「…一度絶望させて突き放したはずが、逆に決意をさせてしまったらしい。スカラー兵器も破壊された。」
「…!?ほう…。」
「そういうお前も、どうしてここへ?そのゲネシスドライバーは?」
 同じく知記の腰にもゲネシスドライバーとアップルエナジーロックシードが装着されている。
「ああ、これは戦極ドライバー壊したから凌馬に修理してもらっている間借りてるもので、今日修理が終わったらしいから来たってことだ。」
「なるほど。」
 そしていくつか他愛もない会話を交わして、二人は別れた。別れ際、貴虎は知記に訊いた。
「…まだ、戻って来ないのか。」
「ああ。俺は今の絶望の選択肢をそのまま受け入れたくは無い。最後まで足掻くつもりだ。…それまで、帰らない。」
「…そうか。」
 知記は踵を反し、タワー内部へと向かった。
「…知記も、プロジェクトアークに疑問を持つ者だったのか。私も少し迷いがあるが、それは知記も同じだったか。」
 貴虎は、知記と同じくタワー内へ入る。そして自分に宛がわれている部屋へと向かった。
 同じ頃。
 知記は凌馬の研究室へと到着していた。
「入るぞ。」
 数回ノックをして扉を開ける。するとそこには、凌馬の他に光実もいた。
「ああ、知記か。葛葉紘太のバックにいる人物は分かったかい?」
「…いや、結局分からなかった、済まない。」
 知記は少し考え、そして詫びとともに頭を下げた
 その様子を光実は少し怪訝そうに見ていた。
「…と、光実もいたのか。もしかして、ユグドラシルに加わったのか?」
 光実はしゃべらなかった。そしてなおも睨みつづける。
「…まあ、大体分かったしいいか。そういえば、葛葉と空ですれ違ったんだが。」
 その言葉に凌馬と光実は反応した。
「…彼の裏には一体誰がいるんだ。あのような謎のロックシードで、私の知らない未知の変化形態に変身するなど…。」
 話を聞いた知記はこう思った。
―ああ、やっぱりあのアームズは凌馬の考えた物ではないのか。
―それもそうか。
―関わった俺ですら知らないロックシードなんだ
―あのあとで凌馬が個人的に開発したとは考えにくい。
―ヨモツヘグリやリンゴは危険さ故に封印されてるはずだが。
―どうもそれではなさそうだしな。
「あのロックシードを知記さんが渡したということは?」
「それはないな。俺は合同ダンスイベント以降一度も葛葉と会ってないし。」
 それは光実も理解していた。そのような暇が無いことも。
「まあ、件の事は済まなかったと思ってるよ。あと、これ。」
 知記は懐からゲネシスドライバーを取り出し、凌馬の机の上に置いた。
「約束だったからな。戦極ドライバーを返してくれ。」
「君も物好きだね。この期に及んで戦極ドライバーを使おうだなんて。」
 凌馬は、すっかり修理された知記の戦極ドライバーを差し出した。
 知記はそれを受け取り腰に装着する。現れたフォールディングバンドは銀色だった。
「一応強化もしておいたよ。といっても、システムのアップデートくらいだけど。」
「そうか。それじゃ…。」
 知記はゲネシスドライバーを差し出す。そしてその手でゲネシスコアを取り外した。
「なにっ!?」
 知記は外したコアを掲げ、言う。
「悪いな。俺が戦うために、これは必要なんだ。」
「知記、君って奴は…。」
「おいおい、ゲネシスドライバーは返すと言ったが、何もコアとロックシードまで返すとは言ってないぞ。」
 そう返答しながら扉へ向かう。
「それじゃ、またな。」
 知記は扉を勢いよく閉め、屋上へ走った。再びダンデライナーを解錠し、それに飛び乗ってタワーを後にした。
 残された二人は、あまりの出来事に呆気に取られていた。
「まさか、知記があんなだったとは、気づけなかったね。」
「ええ。でも知記さんをプロジェクトアークから外す口実は出来ましたね。」
「まああんなことしなくてもこれは渡したんだけどね。」
 そう言うと凌馬は新たなゲネシスコアを取り出し、ゲネシスドライバーに装着した。
「どうするんですか、これ。」
「必要な人間が一人いるから、その彼に渡すよ。安心したまえ。光実君には貴虎を排除した後、貴虎の物を使ってもらうから。」
 凌馬のその顔は、狂気に満ちていた。
 光実はそれを警戒しつつ、『悪くない』と考えていた。



 一週間ほど経った頃。
 この日も知記はヘルヘイムを探索していた。勿論ベルトを装着し、養分を取り込むためのロックシードが装着されている。
「やっぱり、そう簡単に見つからないか。」
 半ば諦めたように知記は歩き続けていた。と、その時だった。
「…お前は、何者だ?」
 知記の目の前に、黒いダンス服を着た青年が現れた。その肩には人らしき物が抱えられている。
「…駆紋戒斗か。」
 その青年は、ビートライダーズのチーム、チームバロンのリーダーである青年だった。
「なぜ俺の名を知っている?」
「ああ、悪かったな。俺は紅城知記。元ユグドラシルの幹部みたいなもんだ。」
「ユグドラシル…、それにそのベルトは…。」
 駆紋戒斗と呼ばれた青年は知記を睨む。おそらくユグドラシルという言葉を聞いたからだろう。
「そんなに睨むな、駆紋。俺はユグドラシルの裏切り者だ。」
「どういうことだ。」
 聞いてきた戒斗に対し、知記は歩きながら全てを口にした。ユグドラシルのを裏切った経緯。自分の過去などを全て。
「まあ、信じるかどうかはおまえの勝手だが。」
「そのベルトが物語っている。ベルトの本来の使い方をしているのが証拠だ。」
 確かに、知記の戦極ドライバーは今は生命維持装置としての使い方がなされている。それを見て戒斗は信じたのだろう。
「それで、こいつはそれを知っているのか。」
 戒斗は背中を見せる。そこにあったのは、紘太の顔だった。どうやら戒斗が担いでいたのは紘太だったようだ。
「半分くらいかな。ユグドラシル関係は伏せて話した。その時近くに光実がいたからな。」
「呉島光実か。あいつはこいつを裏切ったぞ。」
「ああ,知ってる。それで、紘太が気絶しているのか?」
「あいつは葛葉を背中から撃った。強者を背中から撃つのは弱者のすることだ。」
「まあ、正しいな。それでどうする?傷はなさそうだが。」
「俺はまだやるべきことがある。」
「それはオーバーロードか?」
「ああ。」
 歩いていくうちに開けた場所に出てきた。木や植物は比較的少なく、だが木に植物のつるが生い茂っているような状態だ。
「あの木に安静にさせておこう。植物から実を摘み取っておけば安全だ。」
「ああ。」
 二人は一本の木から実を全て摘み取り、枝の上に紘太を寝かせて植物でその体を覆った。これでしばらくは安全だろう。
「さて、この実をどうするかだが。」