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夢と少女と旅日記 第6話-4

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 L.E.1012年 5月19日

 (この日記には、前半部分が存在する)

 説明会のあと、サンデーさんから電話がありました。「少し考えたけど、やっぱり協力させてください」と言ってくれました。私は早速ローラさんにも、電話の内容を伝えて言いました。
「早速ですが、3人、……と妖精たちで会って今後の計画を話し合いましょう」
「それは危険ではありませんの? もし誰かに目撃されれば、わたくしたちとサンデーさんとの関係が気付かれてしまう恐れがありますわ」
「いえ、むしろバレてしまってもいいです。どうせ時間の問題ですし、それでドリームバスターズが何か行動を起こしたなら、逆にこっちが糾弾するための正当性を得られるかもしれません。
 夢魔たちに対しても同じことです。今はなんの突破口も見付からないのですから、刺激しまくって藪から蛇を誘い出すべきです」
「なるほど。そこまで考えた上での計画ですのね」
 無鉄砲な計画ではあります。しかし、今はこれにかけるしかありません。ローラさんもそう納得してくれたようです。
 そして、私たちは喫茶店で集合しました。そこはギルド本部から数キロメートル先の喫茶店でした。こそこそ隠れるつもりなんてありません。
 口に出すと矛盾しているけれど、いっそのこと堂々と裏工作を進めればいいんです。邪魔者がいると知れば、きっと何か手を打ってきます。ドリームバスターズも夢魔も、私たちを無視できないようにしてやればいいのです。
「さて、計画と言っても難しいことはありません。サンデーさんは普通にギルドから情報を買って、それを私たちに共有してくれればいいです。それと証明書もですね。
 情報料については、こちらでなんとかします。とにかく、そうやって買った情報の事件を解決していき、ついでに夢魔に対しても挑発してやりましょう。
 すると、どういうことが起きるでしょうか。ドリームバスターズもおそらくすぐに私たちの動きに気付きます。そして、夢魔を挑発し、ナイトメアを誘き出そうとする私たちを警戒するでしょう。
 それでサンデーさんを追放するようなことがあれば、それこそ好都合です。ナイトメアを倒そうとする動きを封殺することは、ドリームバスターズの正当性を失わせます。信用を失えば活動しづらくなるでしょう。
 それを恐れて見て見ぬ振りをしてくれるなら、それはそれで問題ありません。安心して、ナイトメアを誘き出すことに集中できます。ここまでで何か質問はありますか?」
「その情報というのは、一度に複数買うつもりですの? でないと、効率が悪いですわね」
「そうですね。それでも問題はないでしょう。それでお金が得られるなら、ギルドもとりあえずは不満なしでしょうし」
「むしろ問題は、ナイトメアがそう都合よく動いてくれるかじゃないですか?」
「それについてはかけるしかありませんよ、エメラルドさん。まあ、いざというときには女神様の作戦がありますし、一か八かでこちらも動いてみましょう」
「あの、ネルさんたちへの連絡はどうすれば……?」とおずおずと訊いたのはサンデーさんです。
「証明書が必要なので、直接会わなければなりませんね。いっそ、毎朝情報交換も兼ねて、この喫茶店に集合するっていうのはどうですか?
 サンデーさんが口封じのために誘拐される可能性などもありますし、もしなんの連絡もなしに集合時間に来なければ、あなたの身に何かあったという前提で動きます」
「あ、あんたたち、サンデーにそんな危険な目を遭わせる気なの!?」
「私たちは既にレガール総務部長の前で、反発的な態度を見せてしまいました。サンデーさんにやってもらうのが一番です」
「だけどよ、そのサンデーだって、ここでの話が漏れれば門前払いになるかもしれないだろ?」
「ここで漏れたとしても、大勢の目撃証言があるわけではありません。信憑性の低い情報で、小さい子供を冷たくあしらったとなれば、ギルドの信用はガタ落ちです」
 自分でも驚くほどに、すらすらと回答が浮かびました。もちろん穴の多い計画であることは百も承知です。しかし、こうして話していると、少しずつ磐石になっていくような気がしました。
 とにかくがむしゃらにやって、相手の動きを誘うしかありません。駄目なら駄目で次の手を考えればいいんです。私には信念も野望もないからこそ、きっとこの状況を打ち破れる。そんな気がしました。