小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

アザレア少女

INDEX|4ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

2.クラス割り。その結果





私は私を抜いて三人の幼馴染み達の中から二人と一緒になった
一人は今私と一緒にいる秋原桜、そして後二人はさっき会話にも出てきた森崎蘭と森崎春。
もう一人の幼馴染み、黄田遥希は私たちより二つ上だからどうやっても一緒のクラスにはなれないので数には入れていないし今回は除外だ、除外。

まぁ、遥希を抜いた三人のうち私は桜と春と一緒になった。クラスは一年一組、蘭は一年三組。
蘭と離れてしまったのは残念だったが大抵同じ学年に兄弟がいるとクラスは分かれる、しかも蘭と春は性別は違えど一卵生の双子だから尚更だろう
ちなみに蘭が姉で春が弟だ、だから表記は『姉弟』とこうなる。

それに蘭ならしっかりしているから桜を一人で新しいクラスに投げ入れるよりはよっぽど安心だ
それに休み時間になったらこちらから会いに行けばいい話だし。


取り敢えず新しいクラスにでも行くか、と思い私は桜に声をかけ新しく私たちがお世話になる教室を目指した



ガラリ、とドアを開けると大抵の人数は揃っていた
早くもいくつかの小さなグループが出来上がっているのがチラホラと見受けられる
まぁでもその中に入りそこねたという感じの人もチラホラといた
こんな光景は新学期だとよくあることだ
言い方は悪いかもしれないが第三者から冷静に見ればある意味恒例行事かもしれない

そんなことを思いつつ私は自分の席を確認すると席に着いた


……………先生が来るまで暇だ
それに周りの音がガヤガヤしていてうるさい
誰しも人と喋っていればこうなるが私は人が多くて賑わっている所が余り好きではない

音楽でも聴いてよう、と思い私はイヤフォンを装着した
イヤフォンやヘッドフォンをしていれば音楽を聴いていなくもても大体の音はシャットアウト出来るし他人からも余り話しかけられない
これ程便利なものはないと私は思う
家では耳栓でもしてればいい話なんだろうけど学校じゃそんなわけにもいかないしね。

そんなことを思いながらボーッとしていると誰かが必死に誰かを呼ぶ声が聞こえた
そしてしばらくすると何故か私の体が揺れた



「……―――ちゃん!――かりちゃんっ!」
「…………」
「っもう!朱理ちゃんってばっ!!」
「っわ、え、何……?」
「もー……朱理ちゃんやっと気付いてくれたぁ」
「え、何、もしかしてさっき呼んでた?」
「うん、すっごく呼んだんだから!」
「ごめん、ボーッとしてた」



どうやら呼ばれていたのは私のようで呼んでいた方は桜だったらしい
私は素直にボーッとしていて気付かなかった事を謝ると桜は人懐っこい笑顔を浮かべいいよー、と言ってくれた

さて呼んだからには何か用事があるのだろうか?



「にしてもどうした、何か用があった?」
「あっ、そうだよ!危うく忘れる所だったよー、蘭ちゃんの所行こっ!」
「忘れるとか、蘭が可哀想」
「え、ちょっ、ちがっ違うんだよぉぉ!」
「さーて報告しに行こうかー」
「ごっ誤解なんだよぉぉ、言葉の誤と言うか……!」
「ほら、行くの?行かないの?」
「う。……………行きます」



純粋な子をからかうと反応がやはり面白いというか調子に乗ってしまうというか………
まぁ、やり過ぎると泣いてしまう場合もあるからそこは限度を保ちつつやっていきますが。

五組まである中教室が近かったのは良かったかもしれない
もし蘭のクラスが五組なら端から端まで移動することになる
私は結構面倒臭がりなので、そんなことにならなかったのは少しばかり幸運だと思う
まぁ、面倒臭がりながらも桜に引きづられながら行っていたと思うけど。



「あ、いた!蘭ちゃーんっ」
「ちょっ……桜声でかい、目立つ」
「二人ともおはよう。朝から桜は元気だね、それにしてもどうしたの?」
「おはよう、蘭」
「おはよう!あのね、クラス別れちゃったから会いに来たのっ!」
「そうなの?ありがとう」



ふふ、と品よく笑い私たちに礼を告げた
この人、森崎蘭が私達の幼馴染みである訳だがどうにも信じられない
とても同い年には見えないし、品が良すぎて何処の育ちですか?と知っているのに聞いてしまいそうになる

にしても周りからの視線を感じるのだが何故だろう
周りの視線の先を辿ってみると蘭に辿り着いた
……………あぁ、成程
何処へ行ってもこの子の上品さ故に何処育ちなんだ、と気になって視線を向ける輩が多い。
今回もそんな感じだ
まぁ次第に日が経っていけばこの視線は和らぐ、毎回の事なのである意味慣れっこです

ふと蘭のクラスの方から視線を感じそちらを見ると一人の男子と目が合った
大人しそうな男子でいかにも草食系男子と言われるものだろう
そんなことを思っているとバッと顔ごと目を逸らされてしまった

……………何だろう、知らない人でもあからさまに顔ごと目を逸らされると傷付くもんなんですね
何かいらない事を知った気がします
まぁ、どうせ彼も蘭を見ていた所私と目が合ってしまって慌てただけだと思う
大丈夫です、私はペラペラと誰が蘭の事を見てたなどと口走る方では無いのでご安心を。


心の中で草食系男子君にそう告げると私は蘭に目線を向き直した



蘭と桜に向き直った私にはその後誰が誰を見ているなんて分かりもしないのです。



作品名:アザレア少女 作家名:水鳥 涼