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超絶勇者ブレイブマン その18

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「そもそもさ、せいぎくんには本当にアリバイがなかったの? というか、体育の授業には出てなかったってこと?」
 それは男子の様子を知らない愛にとっては当然の疑問であったが、希望はそこからかと言いたげに説明をした。
「こいつは体育の時間、保健室に行ってたんだよ。それが本当かどうかも分からないけどな」
「保健室?」
 愛は首を傾げて訊いた。
「保健室なら、保健の先生がいるはずじゃない? それなら確認すれば、せいぎくんのアリバイは証明できるはずだよ」
「ほ、保健の先生だって、常に保健室にいるわけじゃないだろ」
 希望は保健の先生のことは失念していたらしく、動揺していた。愛はその隙を見逃さず追及する。
「せいぎくん、保健の先生はどうしてたの?」
「さあな。保健室に着いたときにはいたけど、それからずっと寝てたから途中でどこかに行った可能性はあるかもしれない」
「ほれ見ろ、保健の先生がどこかに行った間に教室に戻ってきた可能性があるじゃないか」
「でも、保健の先生がずっと保健室にいた可能性もあるね。ちゃんと確認するべきだと思うよ」
「だとしても、保健室に行った振りをして、俺たちがいなくなるのを待ってから教室に進入し、それから保健室に行った可能性がある。それなら、保健の先生がどうしてようと関係ない」
「うーん、まあそれは確かにそうかもしれないけど、本当にそうまでして、希望くんのガンプラを破壊したかったのかな」
「こいつが何を考えてたかなんて知るか! どっちにしろ、こいつが犯人じゃなきゃ説明がつかないんだからよ」
「希望くんの主張は分かったよ。確かにせいぎくんの疑いを晴らすのは簡単なことじゃないみたいだね。だけど、他にも犯行可能だった人物がいるんじゃないかな」
「誰のことだよ。さっきも言ったが、男子は体育の時間に抜け出すのは無理だ。そして、それは女子だって同じはずだろ」
「それは違うよ! あのね、男子がどうだったか知らないけど、女子の方は途中で5分間の休憩時間があったんだよ。
 その間は体育館を出て行ってもいいことになってた。だから、女子には犯行が可能なんだよ」
 愛は語尾に力を込めて言った。その言葉に動揺したのは、今度は可恋であった。それは自分の知る事実と異なっていると思ったからだ。
「ま、待って、愛ちゃん。私、休憩時間中は出入り口の近くで座ってたけど、誰も体育館からは出て行かなかったよ……」
「何言ってるの、可恋ちゃん。まさか忘れちゃったわけじゃないよね。可恋ちゃんに『ちょっとお花摘みに行ってくるよ』って言って、体育館から出て行った人がいるじゃない」
「それは、えっと、そうだけど、でも……」
 可恋には愛が何を言っているのか分からない。いや、分かったからこそ、愛が何を考えているのか分からない。だって、それは――。
「おい、どういうことだ。説明しろ、愛!」
 希望の台詞はどこかの超高校級のかませ眼鏡のようであったが、希望は別に意識して言ったわけではなく、たまたま似たような台詞になっただけである。
「うぷぷ。つまりさ、私が犯人なのかもしれないってことだよ」
 だって、それは自白じゃないか。可恋には、自分の親友が何を考えているのかが分からなかった。