小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

超絶勇者ブレイブマン その16

INDEX|1ページ/1ページ|

 

 その日、最後の授業は体育だった。基本的に体育の時間は男子と女子で分かれて行なう。そのため、体育委員は男子と女子でひとりずついるのだ。
「それでは、女子の皆さんは体育館でバレーボールなので移動してくださーい」
 女子の体育委員が移動場所を案内している。愛は体操服の入った袋を持って立ち上がり、自分の席に座っている可恋の手を握った。
「可恋ちゃんも着替え持ったね? それじゃ、女子更衣室に着替えに行こっか」
 ちなみに、男子更衣室も体育館の近くにあるが、男子が運動場に行く場合は時間短縮のため、教室で着替えてもいいことになっている。
 もちろん更衣室を使ってもいいのだが、面倒臭いと思う男子が大半だ。なので、女子は男子の着替えのため、さっさと移動しなければならないのだ。
「で、男子は運動場でいいんだよな、希望?」
 女子たちが体育館に向かうのを確認してから、勇気が訊ねた。訊かれずとも案内するのが、体育委員である希望の役目なのだが。
「ああ、今日は運動場でサッカーらしいぜ。みんなもそういうことだから、すぐに着替えて運動場に集合なー」
 希望が今更ながら、クラスの男子たちに向かって言った。それを聞いた正義は持っていた着替えをロッカーにしまいながら言った。
「やーめた。俺パスするわ。保健室で一眠りしてくる」
「え、どこか身体の具合でも悪いのか?」と勇気が訊ねた。
「別に。たいしたことねえけど、引越しとかいろいろあって疲れたんで」
 嘘じゃねえよ。引越しの疲れが残ってる上に、転校初日で気疲れしたっていうのは本当だ。
「じゃあ、保健委員、……の可恋ちゃんはもう行っちゃったか。代わりに俺が保健室まで案内しようか?」
「別にいい。朝、保健室の場所は確認したから」
 ぶっきら棒に答えながら、正義はだるそうに保健室へと向かった。しかし、その姿からは本当に調子が悪いのか、ただサボりたいだけだったのかは分からなかった。
「相変わらず態度の悪い奴だな」
「まあまあ、まだ転校初日だし。案外悪い奴じゃないかもよ」
 昼休みの一件からずっと機嫌の悪い希望を宥めながら、勇気も着替えて運動場へと向かった。
 授業の内容は、男子で半分ずつに別れてサッカーの試合をするというものだった。女子のバレーボールもおそらく同じように、半分ずつに分かれて試合をするのであろう。
 ともかくサッカーの試合は白熱した。特に勇気はやはり運動神経がよく、その日はハットトリックを決めた。女子がいれば黄色い歓声が上がっていたことだろう。
 そうして、授業も終わり、男子は再び教室へ戻り、体操服から制服に着替えた。しばらくすると、女子も体育館から帰ってきた。正義もいつの間にか戻ってきていた。
 そしてその日の終業の挨拶が行なわれ、教室は帰り支度をする生徒のみになった。事件が発覚したのは、その直後である。