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たららんち
たららんち
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ぶろぐがわり

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卒論発表、そして



「――まとめです。本実験は、ミラーニューロンシステムが自分の行動の準備をする機能がある、という仮説を検証するものでした。その結果――」

 自分の発表が終わった、と脱力したのも束の間。矢継ぎ早に次の人の発表が始まります。その発表を右耳で聞き、左耳に通す作業も飽きてきたころ、ついに卒論発表の幕が閉じました。
 やっと卒論発表が終わった、と脱力しそうになりますが、それも許されません。先ほどの発表で発覚した卒論の不備などを訂正し、再度提出という作業が残っています。
 訂正作業が終わった、とついに脱力、と思いきや次は飲み会にスーツで行くわけにはいかないと着替えるために一旦家に戻ります。家が遠い人も居るので、その人のためにおんぼろ軽を走らせて、また戻ってきて、ようやく脱力です。

 予約した居酒屋に出向いて、まずは乾杯をします。卒論発表お疲れ様でした、と先生の音頭。少しぐだぐだとしながらも乾杯し、お腹がすいたと注文の嵐です。
 四年生一年間の締めくくりとも言うべき今回の飲み会で、一年の思い出を語りあいます。途中で学校に来なくなった同級生、夏のキャンプ、くだらないことで笑いあい、時間は過ぎていきました。
 そうして、お開きにしようと会計をして表に出ることに。表に集まり、また少し会話をした後、先生が「それではお疲れ様でした」と締めくくります。しかし会話は終わりません。
 これで会うことも、もうたぶん無いのだろうなと思うと少し寂しい気もします。別段、仲の良かった間柄とお互い思ってもいないはずなのですが、なぜでしょう。最初は嫌だなと思っていても、いつのまにか慣れてしまって、普通になっていました。そして、その普通が今日終わるのです。
 先生が再び、「お疲れ様でした」と締めくくります。それでもやはり会話は終わりません。それを何度か繰り返し、とうとうお開きとなりました。

 四月からは、社会人です。


作品名:ぶろぐがわり 作家名:たららんち