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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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2―5 【麝】

 【麝】(じゃ)、漢字の「鹿」を下から「射」で支えている。
 麝香鹿(じゃこうじか)の【麝】で、難しい字だ。
 そのジャコウジカは、体長1メートル程度の鹿より原始的な動物。南アジアの山岳地帯に生息しているらしい。
 そして、そのジャコウジカの分泌物を乾燥した香料のことを麝香(じゃこう)と言う。それは甘い香りで、六神丸や救心などにも入っているとか。

 戦国時代、織田信長と同年生まれの細川幽斎(ゆうさい)と言う武将がいた。文武両道に優れ、歌人でもあり、立派な人だった。
 幽斎は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、これらの個性の強い三人の上司に仕え、76歳の人生を全うする。
 現代社会を生きる満身創痍でヨレヨレのサラリーマンたち。幽斎に「上司と上手く付き合って行く方法」を伝授してもらいたいことだろう。

 だが、本エッセイでは……特別に教えましょう。
 なぜ細川幽斎は個性豊かな三人の上司に仕えることができたのでしょうか?
 そこには秘密があった。それは幽斎の奥さまだ。  
 30歳の時に娶(めと)った20歳のレディ、彼女は麝香姫(じゃこうひめ)と呼ばれていた。

 幽斎は、妻が甘く放つ香しい麝香の香りで、まるで魔法を懸けられたかのように……。
 生涯側室を設けず、浮気もせず、勝手気ままな上司が三人次から次へと変わろうとも、麝香姫の麝香の香りに操(あやつ)られ、ただただ仕事に励んだ。
 その結果、戦国の世を生き抜くことができたのだ。

 現代でも一緒かな?
 嫌な上司にうまく合わせ、出世できるかどうかは、要はツレアイの――『香りの問題』なのかも知れない。