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小悪魔メフィとファウスト博士

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<第一章:悪魔との出逢い>

悪魔からの誘い


「"俺と一緒に地獄へ堕ちようぜ"」

こんな誘い文句を言われたのは生まれて初めての事だった。

「お前は刺激を欲している。
俺にはお前が心の奥底で求めるものを提供してあげられるよ。
怠慢な日々が…ダラダラ過ぎてゆく変わらない日常が…退屈で退屈で仕方ないのだろう?
俺についてくれば良い。
さすれば俺はお前の人生をさぞ素晴らしいものに変えてみせよう。」
「…見返りは?」
「ん?それだけじゃ不満だと?」
「ああ…命一つ賭けるのだろう?
何の見返りもなしに、その話には乗れないな。」

「…博士は、何故博士になったんだい?」
「俺?…俺は…」
「"好奇心"じゃないのかい?
あえて言うなら"知的好奇心"か…
俺はそれを…お前が一番望むものを満たしてやれる。
どうだい?一緒に手を組まないかい?」
「お前の目的は何なんだ?」
「俺?俺は楽しければなんでも良いのさ。
なにせ一度死んだ身。悪魔に転生(?)した以上、人間界でやり残した様々な刺激を楽しみたいというわけさ。」
「なるほど…」
「どうだい?悪い話じゃないだろう?」
「お前が"悪魔"じゃなければな」
「どういう意味だ?」
「信用できないという意味さ。何か裏があるんじゃないかってね。考えてしまう訳よ。」
「とんでもない!俺にそんなものがあるわけないだろう!
そもそも"悪魔"という存在が、裏そのものなのだから!」
「威張れることじゃないと思うがね…
まぁそれもそうか。
…一つ聞く。何故俺を選んだ?」
「"俺"のことがよくみえるからさ!
悪魔とは裏だ。裏とは真理。
お前が真理に近い人間だと俺が判断したからだよ」
「ありがた迷惑な話だな」
「フッフッフ。まぁそういうなって。
どうだい?乗り気にはなったかい?」
「…少し考えさせてくれ」
「分かった。ではまた明日同じ午前0時にここに顔を出すとしよう。
ではGood night」

何がGood night(いい夢を)だ
悪魔がみせるのは悪夢だけだろうに
それにしても生意気な奴だ。
刺激を欲してるだと?
俺ほど平凡を好む人間はいないぜ

しかしどうやって断るか…
ああいうタイプは執着心が強く嫉妬深くておそらくしつこい。
うーーーん…

ベットへ横になり、そんなことをいろいろ考えていたら、結局気付くと朝を迎えていた。悪魔は悪夢どころか不眠という素晴らしい悪を与えて下さったようだ。

今日の睡眠はこれで終了。
もう2度と夜が来なければ良いのにと思いながら寝不足で重たい体と考えすぎて疲労した頭を抱えて、今日という一日が始まるのであった。