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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの5

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5-1


学校の帰り道。夜の住宅街。知春は優太の数歩前を跳ねる様な軽い足取りで歩いた。外の空気は寒く、たまにすれ違う人はジャケットを羽織っている。

優太は、少しうつ向いた。何処から来たのか分からない、木葉が足元で踏まれ、茶色くなっている。

半泣きになりながら、睨み付けてきた知秋の顔が頭に浮かぶ。
ほっておくことが出来ず、勢いで知秋と関わる事にしてしまったけれども、果たしてそれは正解だったのだろうか。

さっきから優太の視線は地面に向けられっぱなしだ。思い出した様に、優太が顔をあげると、知春が丁度振り返るところだった。街頭に照らしだされた顔は、知秋の神経質な顔と違い、穏やかだ。知春は、知秋に比べ、のんびりとした性格だった。

本当に別人なんだな…。

優太はまた地面の枯れ葉を眺めた。何だか気まずい。

小さな公園が現れると、知春は足を止め、公園を指差し、優太に笑いかける。
「ここお父さんとよく行った公園なんだ。」
「ああ、確かに滑り台が象の形だね。」
「よかった!覚えていてくれたんだ!」
嬉しそうに、ふんわりと笑う。

目の前の女の子は文面だけとはいえ、幼馴染みなんだな…。

その姿に罪悪感を覚え、優太は少しだけ早歩きをし、知春に追い付いた。