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アナザーワールドへようこそっ!  第三章  【047】

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  【047】



「今から『千年前』…………この星、『アナザーワールド』は誕生した。そして我々『人間族』を含む『四つの種族』もまた、この星の誕生と同時に誕生した」

 えっ?

 何……その冒頭からいきなりの『衝撃発言』っ?!

 この『アナザーワールド』と『人間族』や『他の種族』は…………『同時に誕生した』っ?!

 何、それ。

 ダーウィンもビックリなんですがっ!

 地球の常識では到底考えられない発言だった。

 しかし……、

「まあ、お前らも去年のジュニアの学校(アカデミー)の授業で、ここまでは習っているだろうからおさらいとなるが、集中して聞くように。この『星と種族の始まり』から、今日の…………現代の『種族間戦争(スピーシーズ・ウォー)』へと続いているのだからな」

 メガネツン女史がそう言うと、俺とシーナ(ご就寝中)以外の生徒たちは、無言ながら頷き、各々が顔つきを厳しくさせた。

 やはり、この世界…………アナザーワールドでは『戦争』が起きているのか。

 メガネツン女史は続ける。

「今から『千年前』…………わたしたち『人間族』の祖先であり『神』である『アダムとイヴ』が出現し、この星、『アナザーワールド』を創り上げた」

 えっ?『神』?

 隕石の衝突とかで誕生したんじゃなくて、『神』……である『アダムとイヴ』が、『アナザーワールド』というこの星を創ったってこと? しかも、『アダムとイヴ』て…………何か、聞いたことがあるぞ、地球で。

 やっぱり、この『アナザーワールド』と『地球』は、何か『つながり』があるんだろうか?

「そして、『アダムとイヴ』……二人の神は、まず自分たちに似た『人間族』を創り上げた。その後、多様性に富んだ星にしようと、それ以外の生き物も創り出した。それが、現在、存在する『四つの種族』となる。つまり…………本来、この世界の『主種族』は『人間族』ということであり、他の種族は、あくまで『人間族』の『下』に位置する種族となるのだ。何せ、『人間族』は、『アダムとイヴ』というこの星を誕生させた『神』にもっとも近い種族なのだからな」

 ええっ?

 そ、それって、何か…………新興宗教みたいな…………あぶない発想じゃ……。

「その証拠に『王立中央博物館』には、その『神』と『人間族』、そして、それ以外の『四種族』との関係が記された『神託の書』が保管されており、この『神託の書』の中に『各種族の役割』が記された『五種族の使命訓』というものがある。ここには、この世界の『主種族の使命は人間族が担う』と記されており、故に、我々、人間族がこのアナザーワールドを『支配、管理、発展』させる権利があるのだ…………わかるな?」

「「「「「はいっ!」」」」」

 皆、一斉に声を、高らかに、誇り高く叫んだ。

「……しかし、現在、他の四種族はこの『神託の書』はでっち上げだというのを理由に、我々『人間族』に戦争をふっかけてきている。何とも愚かなことだ…………だが、しかし、『神託の書』の使命訓に記された『主種族』であり、この世界の『支配・管理・発展』を『神』から託された我々『人間族』は、そんな愚かな争いを終わらせるのもまた『主種族の使命』ということである。よって、この学校(アカデミー)では、その『主種族』であるという誇りと、『選ばれた魔法士』という誇りを胸に精進するようにっ!」

「「「「「はいっ!」」」」」

 皆、一同、顔を蒸気させ、昂らせた声で力強く返事をした。

 この世界は、予想外に、想定の範囲外に、『異様な世界』だと強く感じた。

『神託の書』……?

 正直、パッと聞いた感じ、かなり…………うさんくさい。

 確かに、リサ・クイーン・セントリア女王陛下…………リサが持っている能力である『天啓(メッセージ)』や、亡くなった母親の『予言(ビジョン)』などは、まだ、確認はしていないが、でも、そっちはまだ信じられる。しかし、今の話の『神託の書』は、俺にはどうしても信じられなかった。理由は簡単…………その『神託の書』を書いたのが『神』である証拠が…………明確な証拠を示すものが無い限り、過去に、王家の誰かが『書いた』という可能性もあるからだ。

 リサの能力を信じる根拠としては、昨日、理事長室でカルロスさんとロマネさんの話を聞く限りでは本物のように感じたからだ。だから、たぶん、それは間違いないと思う…………とは言え、自分の目で確かめる必要はもちろんあるが。

 とりあえず、この『神託の書』に関しては、リサに今度聞いて確認しよう……………………って、あれ?

 何で、俺は、そこまで、このメガネツン女史の話に『深入り』しようとしているんだろう?

 本来の目的は『自分の死んだ記憶を取り戻す』ために『管理者(アドミニストレーター)を探すこと』と、この『学校(アカデミー)を卒業すること』だけなのに…………あぶない、あぶない、そんな面倒なこと避けなければ。

 とりあえず、早く『管理者(アドミニストレーター)』を探し出して、その後は、学校(アカデミー)であまり目立たないようにして、無事に卒業することだけを考えないと…………。こんな『戦争中の世界』で生き残れる自信なんてねーよ。

 ふう…………『深入り、ダメ、絶対!』だな。


 隼人はまだ気づいていなかった。

 これが……この隼人の『深入りする衝動』こそが……、


『入れ替わった神』の仕業による『世界(アナザーワールド)の変化によるもの』だということを。