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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 続・神末家綺談7

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開かれた窓



昼を過ぎても小雨が降っている。その公園は、確かに雪也が夢で見た光景だった。

「ここだよ。間違いないよね、雪也くん」

隣で伊吹が言っている。ああ、と生返事をしながら、どうして伊吹はこんなに冷静なのだとざわつく胸を押さえる。

夢が本当になった。繰り返し見た夢に、本当に根拠があったこと。そして、同じ光景を少女の視点で見たという伊吹。雪也にとっては、世界が転覆したような衝撃だった。幽霊とか、超能力とか、そんなものは信じていなかったのだ。
だけど、これは現実だ、少女が生前訪れ、何度も電話をかけようとしていたという公園。ここから確かに、少女からのヘルプが雪也の夢で鳴り響いていたのだ。

公園には、雪也と伊吹、そして瑞の三人だけだ。小雨がぱらつく、打ち捨てられた公園。町内にはもっと新しく緑溢れる公園があるのだ。ここに立ち寄る住人は殆どいないだろう。伊吹が入手した公園の名前から、簡単に住所は割れた。マンションから三十分近くかかった。

「伊吹の夢によると・・・彼女はここから電話をかけようとしていたんだったな」
「うん。親戚の家とか・・・学校の先生のウチとか、それから・・・警察。どこにも繋がる前に切っていたけど」

それは何を意味するのか。助けを求めたいのに、求められない。彼女は一体、どういう状況に置かれているんだろう。


ジリリリリ、ジリリリリ・・・


公衆電話が鳴り出した。夢と同じだ。雪也はもう驚かない。これは彼女から。現実世界での会話が不可能な代わりに使われる回線なのだ。伊吹らに促され、電話ボックスに入る。小さな空間に入ると、音がより鮮明になった。