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ヤマト航海日誌

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「嘘だ。彼女がハンコを押せば、《小鳥遊》という字なのに違いない。それでボクがうんぬんと言えば、彼女がかんぬんと返して、『ぶ……知り合いにコトリアソビと書いて鷹無がいるってバカは知ってるけど、本人がそうだってのは初めてだ。試してみよ。後悔するかどーか、試してみよーじゃねーの。結婚してくれませんか』『いいの? ……本当にいいの?』となって、彼女のムコになればボクが小鳥遊になれる。するとそのときに超能力が! 空を飛んで手からビームを放つ力が!」

「だからそういう変な妄想はやめてください」


と、ヲタクに言っても無駄というものなのである。

君らはそれと同じだから何を言っても無駄なのはわかる。おれがここに書いてることで君に都合の悪いことは全部嘘とするんだろう。この8月から12月にこの日誌を開けた二千は全部〈いちげん〉の読者でない読者であり、みんな最初の数行をちょっと見ただけですぐに閉じ、コピペしている者なんて君以外にただのひとりもいるわけがないと。そう決めちゃっているわけだろう。

でもひとりいる。min305さんね。minさん、コメントにあんなことを書いときながら、どうして〈ハーメルン〉の航海編にお気に入り登録しないんだろうね。あの理屈ではおれが連載を再開しても、また気づかないことになるのに。

まあいいけどさ。このブログが炎上しないのも君の考えでは読んでる者が君以外にはいないからか。二千が開けてもちゃんと読んだ人間が君とminさんのふたりだけだと。だから怒って「こんなこと書いてるやつがいるぞ」と言い立てる者が出ない、と。

君はそう考えてるんだな。出たらたちまち一万人がこれを読むし、読まずに『非国民め。死ね』とかコメントに書くやつもたくさん出てしまう、と。島田がそれを削除するか? しない。島田がするわけがない。そいつを徹底的にからかう返答をするに決まってる。

と。〈楽天〉のブログにもう書いてるみたいに、島田なら、


「あんたさあ、天皇制が無くなったら、この日本がズボボボと海に沈むと思っちゃってるんじゃないの? キリスト教の信者に地球が平たいと思ってるのがいるみたいにさ」


だとか書くに違いない! そうなったら! そうなったら! 一体どんなヤバイ連中が集まるか知れたもんじゃないじゃないか! このサイトに島田が前に出して途中で終わってた『あした天気にしておくれ』と『墨須夫妻』の「この先どうなる?」ってとこみたいになってしまう! ああ、あの先どうなるんだ!

min305だけが読んでるあの続き。このサイトではあの二作は、主役コンビが〈予知システム廃止論者の中でも特にヤバイ〉という集団に囲まれ、「果たしてこの狂信徒の群れから彼らは逃れられるか? 後半に期待せよ! ラ〜ラ〜ランランラン、このフハイした〜」なんて調子で終わってたけど、あの後どうなるんだよお!

ヤマンバ、いやいや、あのドラマの村人みたいな、ものすげーヤバイ右翼がこのブログの噂を聞いたら! 「天皇陛下についてふざけたことを描き散らかしているらしい」とだけ小耳に挟んだりしたら!

そしてそこだけコピペを読んだりなんかしたら! 最悪だ! そうなったらもうそれは、〈炎上〉なんてものじゃない! 核爆発だ! 波動砲だ! これまでスルーしていた者も「なんだなんだ」と集まってきて、このブログを読み出してしまう! 「炎上もいいところじゃないか。一体全体どんなことがこれに書いてあるんだ」と言って。

そうなったら盗用の夢は完全におしまいだ! と思うから君はおれにここでコメントしないわけだろ。うん。でもまあ、今からでもおれはじぱんぐに返答しようか。〈いちげんさん〉が見たときに、それが天皇崇拝者なら大魔神と化して仲間を呼びそうなやつをさ。それとも、横の〈プロフィール〉から、HP欄に載せたアドレスを押してみてみな。最近そこで新しく別に始めたおれのブログのページに行くから。

今んとこ、11月に『ひとりが死んだらズボボボボ』ってのを出してそれきりなんだけれどね。そこに青い字で書いたことをちょっと読んでみるとよろしい。

あの調子であっちのブログに、これからわざと炎上させる目的で天皇についてほんとのことをガンガンと書いてやるのはどうかしらん。おれにしたなら『コトアク』と『敵中』が百万人に知られさえすりゃいいんだから。だから炎上は結構な話で、歓迎こそすれ普通一般の人のように恐れる理由がないんだこれが。

だからこれから〈楽天ブログ〉で、ボーンメラメラと起こしてやろうと思っています。日本人が五人もいればうちひとりは間違いなく天皇絶対崇拝者だからな。『ズボボボボ』に書いたことの底意に気づけばもうすさまじい勢いで噛みついてくることだろう。

ケケケケケ。しかしそんなのに、おれが敗けるか。その野郎に、


「えーと、あなたはひょっとして、2700年前にイザナギノミコトというのが海に手を突っ込んで泥をすくってボタボタやるとこの日本列島が出来た、今の天皇はその子孫だというのを本気で信じてるんですか。ふーん」


とか、書いてやるんだ。いいよね、君。


「ねえ。〈万世一系〉だとか、言うってことはそれを信じてるわけですよねえ。ねえねえねえだからそれが途絶えると、この日本がズボボボと海に沈むと思ってるんだ。でっすよねえ。アハハハハ」


と、書いてやるんだ。いいよね、君。阿部寛と仲間由紀恵のあのドラマに出てくるような、マジ激ヤバの極右翼に向かってそう書いてやる。

そうなったとき起こるのは〈炎上〉なんてもんじゃない。原発のメルトダウンだ。けれど、おれにとっては結果的に『コート・イン・ジ・アクト』が売れるだけなんだもーん。だから強敵が来ればくるほどおれにとっては〈カモ〉なんだもーん。

だからルビにはそう振るわけよ。○○と書いて××と読む、ってのをやるにはセンスが問われるというのはだからそういうことよ。〈じぱんぐ〉だとか〈ステルス兄貴〉だとかはちょっと小突いただけで転がって逃げて行きやがった。弱え。ネトウヨもどうせみんな、あれと同じで鷹に遇ったことがねえからピーチクパーチクさえずってられるスズメだ。

だから今度はもう少しうまくやってやろう。せいぜいがヒヨドリくらいのフリしてスズメをあしらってやり、カラスを呼んでくるのを待とう。


「ヒヨドリだって? ハハハ、いいとも、ワタシが軽くひねってあげよう。しかしキミらもクチバシで迂闊に藪をつつかんようにね。ヒヨドリどころか、ヘビがいないとも限らんのだから。キミ達なんかひと呑みだよ。だがワタシはその昔、2メートルのアオダイショウと闘った。〈朝日〉の記者だよ。強かったね。強(ト)敵(モ)だね、あれは。あの闘いはまるで〈ノモンハン事件〉だった。あいつは後で論戦に勝ったのは自分だと新(カ)聞(ミ)に書きおったが、しかしワタシは勝ったのはワタシの方だと思っておるよ」

「ええもちろん。どうぞ先生の力であいつを」

「まかしておけ。鷹だろうが3メートルのニシキヘビだろうが敗けるものか」


なんてカラスをスズメが連れてくるのを待つ。そこで藪の中にいるのは実は、ヒヨドリどころか10メートルのアナコンダだと知ることになる。
作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之