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ヤマト航海日誌

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なんてな話をしているところに空襲、と。金星社会と主人公がどんな問題を抱えているか、観客にわからんなりにわからすことが重要だ。『ファーストガンダム』は第一話の前半でこれができていたけれど、『びなす』はまったくできていないしやろうとさえしていない。まっとうな敵や理由は設定せずにキスとビンタではぐらかすのが〈シャシン〉だという考えでいる。死ね。安彦と笹本は死ね。『ガンダムオリジン』も酒場で「にが」とかなんとかいったムード作りに終始して、プロットはどっかいってんだろ。見ないでわかるわそんなもんは。

アフロディアは金星の赤道部に位置する土地だが、おれの設定ではそこはいつでも湯の雨だからこのさい星の南極ということにする。で、イシュタルは北極ね。彼らの目当ては海の藻から採れる油の権益だ。そしてダイヤやレアメタル……地球より太陽に近い金星には重金属が豊富にあり、イシュタルはその独占を狙っているのだ。アフロディアの政府内にも敵と手を組みガッポリ儲けようという考えの者が多くいる。

地球からの独立を叫ぶ者がいる一方で、それはまだ時期尚早と唱える者がいたりして、どうにもこうにも複雑でまるでわからないとスーザン・ソマーズ。でもまあ、みんながパイの取り合いをしているわけね。『いま独立しても社会が立ち行かなくなるだけだ。イシュタルにすべてを渡してはならない』などとテレビ画面の中で言っているのはある広大な農場を持つ農園主だが、ヒロは、


「オレの親父だよ」

「え?」

「あんなこと言ってるが、自分の懐を守りたいだけさ。役人も甘い汁を吸えるままにしたいだけ……」


だがしかし、陸地緑化の取り組みは続いていないわけではなかった。カネが軍事に流れるために、とどこおっているだけなのだ。人が愚かであるために、できないでいるだけなのだ。そして主役であるヒロが、嘘と決めつけ話を聞かずにいただけだった。

ヒロとスーザンはそれを知る。そしてもうひとつ、恐るべき事実を。

金星は安定した環境ではない。人がなんとか住めるようにしているだけで、ひとつ誤ればまたすぐ元の灼熱の星に戻ってしまう。イシュタルは油の増産をもくろんでおり、やれば十年でハイパー温暖化が始まる。


「そんな。それじゃ十億が……」

「みんな死ぬことになる」

「イシュタルに言ってやめさせれば……」

「言ったよ。しかし聞こうとしない。大統領のトランポリンはゲーム脳学者の言うことばかりを聞いて、それ以外はフェイクと決めつけている。そして真実を知る者は、みんなあと五年のうちに稼げるだけ稼いで逃げる考えなのだ。しかしびなすの油を使えば、地球もまたびなすと同じ灼熱の星に……」

「どうする、ヒロ? 知った以上、後戻りはできないわよ」

「かもしれないが、おれに何ができるんだ」

「考えなさい。何もしなけりゃあなたは本当のチンピラよ」

「だからって、おれに何ができるんだよ!」


戦闘バイクに乗ることだ。イシュタルの重戦車と戦うことだ。ヒロ、戦って。今のヴィナスじゃない。未来のヴィナスのために戦って。十年後にヴィナスがみどりの星になるか、それともみんな死んでしまうか、今このときにかかっている。この戦いに勝ったからって、すべてが解決するわけじゃない。まだまだずっと、ずっとずっと、試行錯誤の連続になる。ヴィナスはあまりに複雑な多くの問題を抱えている。けれどあなたが戦えば、わたしは世に伝えるわ。

事実を知れば地球には、きっと支援に立つ者もいる。今は敵のイシュタルにも、目を覚ます者がいるはずよ。自分の子の命のために立ち上がる者もきっといる……だからヒロ、戦って。


「ああ、やる。行くよ。おれはもうB級リーグのゲームライダーなんかじゃない。〈ハウンド〉のゼロセブンだ!」


と叫んで戦いが始まる。よく〜ぼ〜お〜さ〜え〜、というのが最高に燃える状況というものであり、おれが直せばこんなもんかと言うところだが、あの平成の初めになんとかいう監督と脚本家が客からカネ取って見せたあれは一体なんだろうね。主人公がオカマから「ドン」と言われて出撃する。

主人公がオカマに「ドン」だよ。有り得ない。信じられない。何度見ても……話の中にあれを入れたいと思う心理が理解できない。

あれでクライマックスが盛り上がると思ったのか。彼らの考えるプロットではあれがあそこに置かれるべきものなのか。ミリオタにはあーゆーのが受けるということなのか。

そうかもしれんが、別におれ、ミリオタというわけでもないんで、あんなの見せられても困るんだよな。さて〈ハーメルン〉での投稿だが、そろそろおれの『敵中』は、〈超重量戦車対一輪戦闘バイク隊〉ならぬ〈ヤマト対ガミラス潜宙艦隊〉の戦いを描くところとあいなりました。で、それが終わったところでまた当分休みをいただく――何しろ別に急いじゃないんで――わけだが、うーん、どうかなあ。いっそのこと『ヤマト』なんか脇に放ってこの『わが青春のアフロディア』を書こうかな。

だって、どうせくだらないだろ。くだらないものはくだらないのが同じなら、こっちのくだらないものをどこか誰もおれを知らない他所のサイトで書いていいじゃん。〈ハーメルン〉ではもう完全に、読んでいるのが盗む考えで目をギラギラさせているのが解析ページに表れてるので、今あそこで続けることにどう考えても得がないだろ。

おれにとって得がないことなんでおれがやらにゃならんの。君を含めた何百人ものバカが盗む考えをやめないからなんていうのがまっとうな理由になりますか。

〈笹本ヒロ〉は君らと同じで自分のことしか考えてないから、スタジアムの戦車を潰せばゲームができるようになり、また賭屋からカネがもらえるなんてなことをミランダとともに思い込む。深く考えているわけでなく、なんとなくそう思い込んでるだけだから、間違いに気づくことがなく物事が自分に都合よく運ぶよう思い込んでいることができ、アテが外れたときにムクレてふくれっツラだ。要するに何も考えていない。金星社会に生きて金星を知ってる気でも知ってる気でいるだけで、スタジアムの外の社会は知らない――自分のまわりの小さなセカイしか知らないのだ。リンゼイ・ワグナーを自分の部屋に引っ張り込めば彼女が自分のものになると思う市橋達也と同じ。〈女子高生コンクリート詰め殺人事件〉の主犯格少年と同じ。

こいつがそういう人間なのはよくよく見ればわかることだ。あの〈ローリングゲーム〉というのは一度走ればまあそこそこのカネを掴めもするのだろう。テレビで流され大金が動くようなものなのだから、そこで走る人間には相応のギャラが当然支払われる。賭場をアツくさせるために一台抜くたびいくらというボーナスが設定されていたりして、それがために無茶をやらかしているわけだ。別にチームやミランダのために走っているわけではなく、並みの仕事では得られぬカネをラクして稼ぎたいだけのこと。
作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之