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You and I and ...?

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「だいさいさぁ、眼鏡が好きってなんだよ! 俺は!?」
「眼鏡をかけたお前が好きってことなんじゃねぇの?」
「それはそうなんだろうけどさぁ! あいつら俺が眼鏡かけてないとマジでスルーなんだぞ!」
「それはそれは……」

 俺は本気で悩んでいるというのに、親友の吉野ときたら、こんな感じでまったく人事。
 今だって弁当を食べる俺に色っぽい視線をちらちら送ってくる女子だらけ。
 いったいどうなってんだ。この学校は。

「そういえば、昨日テレビでやってたっけ」
「何が?」
「最近、眼鏡男子が熱い!」
「ぶっ」

 卵焼きが俺の口から霧散した。

「なんだソレ!」
「さぁ? 全国的にブームみたいよ。眼鏡」
「じゃあ他の眼鏡の奴ももてるはずだろ!」
「それは……」

 吉野は何かを探すように視線を左右させた。

「ほら、アレ」

 指さす先は、クラスの中の一組のカップル。男の方は……眼鏡。
 あからさまにいちゃいちゃオーラがでている。はい、あーんとか開始しそうだぞ馬鹿野郎!

「この学校の大体の眼鏡君は既に手付き済みです」
「……」
「んで、この学校でもピカ一の人気を持ち、なおかつフリーなのがお前だ。片倉」

 ピッ、箸を俺の方に向けて、吉野はにやりと笑った。

「……嬉しくない」
「嬉しくなくてもなぁ。人間の好みは操作できるものでもないし」
「マジで視力矯正したい……」
「18歳以下は駄目なんだろ?」
「そうなんだよぉー」

 10代はまだまだ近視が進行する可能性があるから視力矯正受けることが出来ないらしい。……それでなくても、俺の近視はまだまだ絶賛進行中だ。

「や、でも本当に何かお前眼鏡かけると凛々しくなるよな」
「っ、取るな! 何も見えん!」

 目の前からレンズが取り去られ、吉野の顔が大きくぶれた。

「普段はヘタレ顔なのに。何だろうな。この眼鏡なんか仕掛けあるんじゃねぇの?」
「俺もそう思って何回か眼鏡かえたんだけど」
「……変わらなかったか」
「……あぁ」

 まるで厚化粧だなと嘯く吉野から、無理矢理眼鏡を取り返した。
 視界がクリアに変わる。気を取り直して唐揚げを口に含んだ。
 と、俺たちが弁当を広げた机に、影が差した。

「……あの」

 同時に聞こえたのは、消え入りそうな小さな小さな声。
 見慣れない、女子だった。このクラスではない。
 腰ほどにまで伸びた髪や瞳、肌の色素の薄さと150ないんじゃないかと思うくらいの背の低さが印象的な女子。
 そいつは、大きく息を吸い込んで、俺を見た。
 ……そこで分かった。これ、いつものだ。
 息を吸い込むと共に、勢いも付けているのだ。
 これは……いつもの、告白ターイム☆

「片倉君、あなたの眼鏡のない顔が好きです! つき合って下さい!」

 ……いつもと違うようだ。
 今度は、唐揚げが俺の口から霧散した。
 それが、舞岡との出会いだった。


作品名:You and I and ...? 作家名:神納舞