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とある女と酒の唄

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月の明るい夜のこと
独りで街を歩きます
今は隣に もういない
貴方の面影 追いかけて

貴方と初めて逢ったのは
たまたま入った居酒屋で
吞めもしない焼酎を
無理矢理 吞んでたときでした


カウンター席の右端で
壁にもたれて目をつぶる
私の隣の空席に
座った見た目のいい男

その手に持ったグラスには
琥珀色したブランデー
優しく響く貴方の声が
心の中に沁みわたる


貴方がいなくなってから
同じ居酒屋のあの場所で
未だに吞めない焼酎を
無理矢理 吞んで待つ人は

琥珀色したあの酒を
持って私の空席を
埋めてくれるただ一人
優しい声音のいい男
作品名:とある女と酒の唄 作家名:秋桜