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アキちゃんまとめ

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三千世界の刀を放り 君とダンスがしてみたい-2


「おいおい、なんだお前。とうとう自殺未遂でもやらかしたか?」

からからと笑うのは、真夜中だというのにテンションの高い鶴丸国長だった。長谷部は端的に「違う」とだけ答え、警察署の入り口横にある待合室に置かれた、年代もののソファへと背を預ける。
先ほどの少女ーー長谷部の記憶が正しければ、アキーーを保護しにきた警察に、事情聴取のために連れてこられた警察署。鶴丸はここの管轄下に所属していなかったはずだが、どうやら見知った顔である長谷部の噂でも耳に入れてきたのだろう。リアルタイムで聞いていたのかと見紛うほどだ。まったく驚くべき手腕である。

「お前は相変わらず冗談が通じないな。もっと人生に面白みを持とうぜ」
「不謹慎と不真面目は好かん」

長谷部は鶴丸よりも、先ほど女性警官に別室へ連れていかれたアキのことが気にかかっていた。
長谷部はアキを助けた後、上手い言葉も出で来ず、言葉少なに彼女の無事を訊ねたのみであった。自分がどこの誰かなど名乗らなかったし、アキの名前を聞こうともしなかった。
それは二台で現れたパトカーの中に押し込められてからも、そして警察署に着いてからもだ。

「ところでお前…………ロリコンだったのか」
「はぁ!?」

鶴丸の潜められた声に、長谷部が驚愕の声を出す。鶴丸は慌てて「声のトーンを抑えろ!」と言った。先ほどとは立場が逆だ。そして長谷部の座っているソファに、改めて腰を下ろす。二人は並んで座る形になった。

「助けた女の子、ありゃ、ちょっと距離があるがいいとこの私立中学の制服を着ていたぜ。頭はあんなだが、まぁ一期だって髪の毛はあんなんだから、こりゃもう個人差だ。それにアンタは面倒ごとが何より嫌いだ。身を挺して誰かを守るなんてこともな」
「何が言いたい」
「つまり! 俺はアンタがあの子に一目で惚れちまったんじゃないかって結論に達した訳さ!」

ゴン、と鶴丸の顔に裏拳が決まる。痛みに叫びまわる鶴丸に、長谷部は盛大にため息を吐いた。

「あの方は俺の主だ」
「主、主……ってぇと、刀剣男子の時のか!?」

今度は声を抑えながらも鶴丸が長谷部に身を乗り出して驚愕の表情を見せる。

「そうだ。ようやく出会えたのだ。お守りする以外にあるまい」
「……」

長谷部の淡々とした物言いに、鶴丸がぽかんと口を開けて固まった。

「そりゃ……驚いた」

鶴丸は脱力しながらソファへともたれ掛かる。遠くから鶴丸部長! と呼ぶ刑事課の青年の声が聞こえた。おー、と鶴丸はだるそうに答えながら制服の裾をおもむろに叩いた。そして長谷部の横顔に、最大限の忠告を残す。

「一応言っておくが……被害者とそれを助けた善意の市民であっても、互いの素性は教えられないし、連絡先ももってのほかだからな? 警察のルールには従ってくれよ?」

あぁ、と答える長谷部の声を聞きつつ、鶴丸は「でもこいつ、連絡先が分かんなかったら制服から分かるだけのところから攻めていきそうなんだよなぁ前世もストーカー気質だったしなぁ」などと至極失礼なことを考える。
さて、と立ちあがった鶴丸の後頭部を、つい、と長谷部が見やる。

「ま、たまには昔なじみで酒でも飲もうや」

鶴丸はさぱっぱりとした声音で言うと、一度も振り返らずに呼ばれた方向へ消えていった。
ふう、と長谷部が知らず詰めていた息を吐くと、夜間対応用の警察署玄関口の自動ドアから一組の夫婦が現れた。片方は顔色が蒼白で、染めているのだろう緑色の髪の毛を腰まで伸ばしている。もう片方は童顔ながら緑髪の方を支えながら自動ドアをくぐってきた。
待合室にはソファが二組置いてあるため、二人は受付で二、三のやりとりをすると長谷部の正面にある三人掛けのソファへと並んで腰を下ろした。

どこかで見覚えのある顔のように思えたが、長谷部は勘違いだろう、と自分の思考を頭の外へと追いやった。




2016/05/16
作品名:アキちゃんまとめ 作家名:こうじ