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ihatov88の小咄集

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18臨場 外伝 5/11


 警視庁鑑識課の倉市は敏腕の検視官で、彼にかかればどんな死体を見ても百発百中で状況を当ててしまう。事件、事故、自殺、他殺……今までものを言わぬ様々な死体から情報を見つけ出し、どんな些細なことも見逃さない敏腕検視官で、人呼んで「クライシス・クライチ」と呼ばれている――。

 今日も発見場所を管轄する所轄の刑事課から検視官室に一本の電話が鳴り響いた。
「検視官、出動です!」
電話をとった補助官の一之木は報告を聞いて、机に足を置いてうたた寝をしている倉市を呼び起こした。
「そう慌てるな」倉市はまずは足を机から下ろした「おう!で、ホトケさんはどんな状況だ」
「マンションの最上階から飛び降りたようです」
「よし、行くぞ!」
二人は部屋の扉を勢いよく閉めて、捜査車両に飛び乗った。
 
 現場に到着した二人、そこは既に黒山の人だかりだ。
 やじうま、捜査員をかき分け死体の前にたどり着いた倉市はまずは死体と周囲を確認した。そこに先着の捜査員が倉市に報告する。
「死亡者は水川秀樹、科学者です。最近研究がうまくいかず悩んでいたそうです。遺書もここに」
と言って捜査員は遺書を差し出した。確かに研究が行き詰まって生きていく希望を無くしたといった内容の遺書がある。
「本人の直筆か?」
「はい、間違いないようです。それに、靴が揃って置いてました」
続いてマンションの30階を指差した。最上階、自室のベランダである。遺書もそこにあり、誰かに突き落とされた状況は考えられない。

「イチ、お前これをどう判断する?」
腕組みをする倉市、そのまま横にいる一之木に対し彼が考えていることをを答えるよう問いかけた。
「検視官、これはどう見ても自殺でしょう?遺書もあり、靴も揃えています。そして、動機も……」
「よく見ろや、イチ!」
倉市はそういって死体の横に転がっているボロボロのこうもり傘を指差した。
「この傘の壊れかた、こいつぁ傘さして飛び降りたんだ。そしてこいつは落ち目の科学者……」
「よってこれは自殺にあらず、実験の失敗、事故死だ。以上!」

 検視官・倉市、警視庁鑑識課所属の敏腕検視官、どんな些細なことも見逃さない。人呼んで「クライシス・クライチ」、さて次の現場はどこか?
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔