小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

to be a mother

INDEX|1ページ/1ページ|

 
 今日はお母さんの誕生日だ。
 朝は早く学校に出てしまったから、なにも出来なかった。
 帰ってからお母さんに何をしてあげようか。
 僕は今日の授業は、ずっとそれで頭がいっぱいだった。

 放課後。
 みんなが残っておしゃべりしている中、僕は急いで学校を出る。
 帰ってみると、お母さんはいなかった。
 何処かに出かけているのだろう。
 その方がいい。
 僕のサプライズのためには、そのほうが都合がいいんだ。
 僕は早速、サプライズの準備のために、キッチンに向かった。
 母が僕の誕生日に買ってくれたパソコンを使って、母にピッタリの料理を探す。
 これにしよう。
 ちょっと難しそうだけど、お母さんのために頑張ろう。
 僕は早速、料理にとりかかった。

 どれぐらい時間がかかったのだろう。
 もうすぐ夕食という時間になっていた。
 僕はお母さんが帰ってくる前に、急いで料理を食卓に並べた。
 よし、いい感じだ。
 きっと喜んでくれるよ。
 僕は食卓に座り、母の帰りを待った。
 待った。
 待った……。
 もう夕食の時間はとっくに過ぎている。
 お母さんはまだ帰ってこない。
 きっと、電車が遅れているんだ。
 そう思うことにした。
 待つ。
 待つ……。
 帰ってこない。
 心配になって電話をかけてみる。
 つながらない。
 食卓に並べた僕の手料理の前で、僕はじっと待つ。
 冷めてゆく料理。
 乾いてゆく料理。
 それでも待つ。
 待つ。

 夜中。
 お母さんが帰ってきた。
 僕は大慌てで玄関に向かう。
「おかえり、お母さん」
「あら、まだ起きていたの? ただいま」
 お母さんに続いて、お父さんも入ってきた。
「おかえり、お父さん」
「ただいま。もうとっくに寝る時間だぞ?」
「ねぇ、どこに行っていたの?」
 僕は二人に聞いた。
「映画だよ。二人で。豪華な夕食も食べてきたぞ。ごめんな、つれていかなくて。お前、今日はいつも部活で食べて帰る日だったから……」
 お父さんが答えた。
「そう……なんだ。……楽しかった?」
「楽しかったよ。最高の誕生日だったよ」
 お母さんが答えた。
「そう……それはよかった。おやすみなさい……」
 僕は、涙を見られないように急いで部屋に入った。
 泣かなくていいのに。
 今日はお母さんの誕生日。
 お母さんが楽しかったならそれでいいじゃないか!
 それでいいじゃないか……。
 その時、僕は部屋の外からすすり泣く声が聞こえた。
 僕は部屋を出て、声をたどった。
 そこにはお母さんがいた。
 食卓の前に座ったお母さんがいた。
 お母さんは、泣きながら食べていた。
 冷め切った料理を。
 乾ききった料理を。
 僕の作ってあげた料理を……。
「ありがとう。今日は最高の誕生日だよ」
作品名:to be a mother 作家名:飛騨zip