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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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夜のゆびさき 神末家綺談2

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旧校舎の二階廊下の一番奥、そこにものすごい唐突さで地蔵が立っている。何で廊下にそんなものがあるのかは、今はもう誰も知らないらしい。地蔵はうっすら微笑んでいて、夜になると動き出すのだという。勿論伊吹らは見たことはない。こっそり忍び込んだ上級生らから語り継がれている噂なのだ。

「指をな、こうやってさすんだってよ」

マコトが面白そうに言い、人差し指を伊吹に突きつけた。

「地蔵は夜になると子どもを探して連れて行く。一人が寂しいから、仲間を探しているんだ。そして連れて行く子どもを指さして・・・」
「地蔵って子どもの守り神じゃなかったっけ・・・」

伊吹の言葉を遮ってマコトは続ける。

「指をさされた子どもは、旧校舎から出られず・・・翌日から、地蔵が一体増えてるんだって」

ばかばかしい、と朋尋が言った。

「行方不明になった子どもなんていないし、地蔵が増えてるなんて話も聞いたことないぞ」

ただの噂話だろう。伊吹もそう思う。

「何だよ朋尋、怖いのか」
「そんなんじゃなくてさ・・・」
「じゃー今から確かめにいこうぜ」

マコトにけしかけられ、むきになった朋尋が立ち上がる。

「俺、懐中電灯持ってくるから待ってろ」
「・・・朋尋、」
「伊吹はいいよ、こなくても。今日は瑞さんもいないし」

マコトが去ったあとで、気遣うように朋尋が言う。

「・・・だめだよ、何があるかわかんないし。それに俺だって、」

ぎゅっとこぶしを握り締める。瑞の冷たい視線が脳裏に蘇るのを振り払った。

「俺だって、お役目の血をひいてるんだ。何かあったら、朋尋はちゃんと俺が守るから」

できる。瑞なんかいなくたって。怖くなんかない。