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君のいる場所~第三章~【プロローグ】

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【プロローグ】


十年後_


今日は、とても天気がいい。
城の屋上から見下ろせる城下。
細かいことは分からないが、活気溢れていることが雰囲気で読み取れた。
上を見上げれば、雲ひとつない空が広がっている。

「キレイな空だ…」

そう呟いたのは、次期国王となるカナデだ。
カナデはこの十年間、著しく成長した。
王としても認められ、今や国の人気も一番だ。
だがそんな彼をかげながら支えてきたのは、彼女である。

「こんなところにいらっしゃいましたか、カナデ様」

背後でした声に振り返ると、そこに立っていたのはアリサだった。
カナデに対し、様々な教育をしてきたアリサ。
彼女あってこその、カナデだ。
それもカナデ自身重々理解している。
やがて二人の間には、深い絆と信頼関係が芽生えていた。

「ここはオレのお気に入りの場所だからな」

アリサに微笑み、また空を見上げる。

「そういえば最近、外に行きたいと言いませんね」
「当たり前だよ、そんなの言ってる余裕なんてねぇよ」

カナデは困ったように笑った。
そんなカナデに、アリサは安心したように笑いかける。

「そうですよね…。カナデ様、そろそろ昼食のお時間です」
「お、そうか。じゃあ行こう」

歩き出したカナデの背を追い、アリサも歩き出す。
廊下を歩いている途中、楽しそうに話している男女を見つけた。

「あれは、ルイとエミリアか?」
「…はい」

ルイとエミリア。
この二人は、五年前に結婚した。
少し、互いの気持ちに気付くのが遅く、結ばれるのにもかなり時間を費やした。
だがアリサの計らいもあり、無事ゴールイン。
ダージスもそれを歓迎し、お似合い夫婦として様々なところで囁かれている。
そしてもうひとつ、二人にいいことがあった。
もう、三年前のことになるだろうか。
二人の間に、子どもが生まれたのだ。
名前はノラン。
性別は男で、美男美女の間に生まれたのだから当然顔立ちもいい。
ノランという名前は、ルイとアリサの母からとった名前である。

「おーいお前ら、もうすぐで昼食だぞ」

呆れた声で言うカナデ。
二人の姿を見たエミリアがわずかに頬を染める。

「もうそんな時間ですか…。早いなぁ」

名残惜しそうにエミリアが呟いた。
抱きかかえているノランに視線を落とすと、エミリアの胸の中でスヤスヤと眠っている。

「寝てるのか…」

カナデがノランの顔を覗き込む。

「やっぱり、子どもは可愛いな…」

ふっと笑みを見せるカナデ。
カナデとノランは、よく遊んでいる。
カナデ自身子どもが好きで、進んで世話をするくらいだ。

「いつも助かってますよ、カナデ様は子どもの世話がお上手ですから」

ルイがカナデに微笑む。
するとカナデは少し照れたようにはにかんだ。

「だろ?」

アリサは、そんなカナデを見て、口元が緩むのが分かった。
やはり、大切な人の笑顔を見るのは気持ちのいいことだ。
お互いに、そう思っている。
だが実際、二人は交際をしているわけではない。
更に言うと、互いの気持ちにも気付いていないのだ。
カナデもアリサも、自分が相手に恋愛感情を抱いているのは分かっている。
それでも想いを伝えられないのは、許された恋ではないからだ。
同じ城に住んでいると言っても、次期王と世話役。
身分の違いが、はたから見ても分かることだった。
それが二人に壁を作っている唯一の問題だ。
この状況を知っているのはルイとエミリアだけ。
二人は何とか、カナデとアリサをくっつけたいと考えている。
だがなかなかうまくいかず、年月は経っていった。
つかず離れずの関係のまま、一生を過ごすのだろうか。
そう思うと、自然とルイはため息をついていた。

「どうしたんだ?ため息なんかついて」

カナデが心配そうにルイを見る。

「いえ、何でもありません」
「本当か?何か隠してるんじゃ…」
「あぁ、皆様!こんなところにいらっしゃいましたか!」

カナデの言葉を遮る形で、一人のメイドが慌ただしく現れた。

「どうしました?」

ルイが真剣みを帯びた声で問う。

「じ、実は、ダージス様が…」

嫌な予感が、四人の中に渦巻く。

「ダージス様が、倒れられました!」

それを聞いたカナデは、一目散に王室間へと駆け出した。