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ガガーリン
ガガーリン
novelistID. 50570
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アリジゴク

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ある爽やかな朝、おれは散歩にでた。気分よく歩いていた。目の前は明るく、おれの将来の見込みも悪いものではなかった。
その時、突然、身体が地面に引っ張られるのを、感じた。
大きな穴に突然おちたんだ。
おれは何がなんだかわからなかった。
気が付いたら砂を手足でかいていた。
いくら手で砂をかいても、いくら足で砂をかいても
どんどんおちていく
おれは必死で手で砂をかいた
おれは必死で足で砂を踏みしめ
それでもどんどん穴の中心へとずるずる落ちていく。
いくら手で砂をかいても、いくら足で砂をかいても
どんどん落ちていく
とうとう穴の中心に呑み込まれた。
これ以上、必死にもがいても無駄な努力だった。
しかし身体はすべて埋まってしまったが、頭だけは突き出ていた。
おれはこれ以上、砂をかいていくのをあきらめた。
おれは上を見上げた。このときおれはアリジゴクに落ちたことに気が付いた。
人々は、おれのことを気にもとめずに、ただ通り過ぎていく。
だれもおれを見ようともしない。
だれもおれを気にもとめないで、早足で歩いて去っていく。
おれは、身動きせずに、再び上を見上げた。
穴の最底辺では、世間がよくみえる。
仲の良かったあいつが、おれを横目におれの彼女を口説いている。
そしたら、会社のアイドルのあの子が、口にもできないことをやっている。
社会は、下から見たら、よく見える。
また別のあいつが、仲の良かったあいつが、穴に落ちたおれを見下して、
鼻でわらっている。
外面では、調子のよかったあいつの本性がこれだ。
穴の最底辺では、世間がよくみえる。
あこがれのあの子の残酷さにおれは、はじめて気が付いた。


作品名:アリジゴク 作家名:ガガーリン