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君のいる場所~第二章~【エピローグ】

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【エピローグ】


翌日_


やはり嵐がやんだのは翌日の朝になってからだった。
その後、国の騎士にフランたちを引き渡し、今はジル王国へ帰還しているところだ。
結局、外へ出掛けられなかったカナデは、不機嫌そうに馬車に揺られていた。

「…カナデ」

カナデの正面に座っていたダージスが声をかける。

「ん、何?」

素っ気なく返事をしたカナデ。
その反応に、ダージスは苦笑をもらした。

「そんな不機嫌になるな。仕方がないだろう?」
「…だって…」

ダージスから目を逸らし、頬を膨らます。
ダージスは小さくため息をつき窓へ目をやる。

「今からルイとアリサに買い物を頼もうと思うのだが…」

カナデは、そう呟くダージスを不思議そうに眺めていた。
何故そんなことを自分に言うのか。
淡い期待が、心の中に渦巻く。

「お前に買ってきてもらいたいものがあるのだ」

そこまで言ったとき、窓から視線を外し、カナデを見る。

「ルイたちと、一緒に行って来てくれないか?」

そう言われ、カナデは目を輝かせた。

「うん、勿論!」

その答えに、ダージスは微笑んだ。
すると窓を開け、馬で並走していたルイとアリサに声をかける。
一通りの説明をし終え、ルイが頷いているのが見えた。
自然と、カナデの顔に笑みが浮かんだ。
嬉しくてたまらない、そんな表情をしている。


数分して、ジル王国に着き、それから三人は城下へ出掛けた。

「カナデ様、ダージス様に何を買ってこいと言われたのですか?」

ルイがカナデに問う。

「あれ、そういえば、何も聞いていない」

そう答えたカナデに、やっぱりかと言わんばかりの大きなため息をついたルイ。

「全くあの方は…」

呆れ返っているものの、ルイの口元には笑みが浮かんでいた。
アリサはそれを見て、ルイが怒っていないことに安心して胸を撫で下ろす。
そしてアリサは、今日あったことを思い返していた。
全ては、あの国の、狂った王族がやったこと。
エミリアのことはよく知らないが、どれだけルイが傷ついたことだろう。
さらに、親が殺された真実を突きつけられ、更に心に深い傷を負ったはず。
それはアリサも同様であるが、きっとルイの比ではないだろう。
多分、ルイの中では、自分のせいで両親が殺され、エミリア傷つけてしまったと思っている。
先ほど、エミリアに謝っているルイを見かけた。
エミリアは、ルイのせいじゃないと言っていたが、ルイの表情は穏やかではなかったように思える。
アリサも、ルイの責任ではないと確信していた。
だが、人一倍責任感の強い彼が、気に負わないはずがないのだ。
きっと、自分の無力さを呪っているだろう。
アリサはそんなルイに、貴方のせいじゃないと声をかけたかった。
貴方は無力じゃない、人を守れる強い人間だと、言いたくて仕方がない。
でも、そう言ったところで、彼の傷が癒えることは恐らくないだろう。
アリサは直感的にそう思った。
きっとルイの心を癒すことが出来るのは、一人しかいない。
エミリアだ。
彼女だけが、ルイを助けることが出来るはず。
アリサはエミリアの顔を思い出す。
魅力的な笑顔が印象に残る美しい女性。
エミリアに惹かれているルイと、ルイに惹かれているエミリア。
この二人が一緒になれば、もう、ルイが辛い表情をすることは多分ない。
それだけで、アリサは嬉しかった。
兄の心から笑っている姿が、久しぶりに見られるかも知れない。
そんな期待が、アリサを包んだ。

「アリサ?どうしました?」

その声に我に返ると、いつの間にか城下についていた。

「いえ、何でもありません」

ルイに馬から降ろしてもらい、地に足をつける。

「では、参りましょうか」

ルイの後を追い、二人は駆け出した。


【第二章END】