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世田谷東署おちこぼれ事件簿2-3

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「事故か自殺かははっきりしてません。トラックのドライバーは歩きスマホしていて危ないなと思ってた所に突然車道に飛び込んできて、間に合わなかったと言ってたそうです」
「それじゃ小説家の犯行の線は始めから無かったって事か」
「無駄かと思ったのですが、飯田早苗の婚約者ですが、調べたら名前は川口耕造グリーン食品の社員でした」
「グリーン食品!」
 柴田明子の婚約者は島田義雄の勤め先の同僚だったのだ。
「あの野郎、そんな事一言も言わなかったぞ。締め上げてやる!」
「山さん、無茶はしないでくれよ。いくら山さんでも今度問題を起こせば本庁が黙ってないから、頼みますよ」
 山本刑事の剣幕に、南田係長は心配して言った。
「分かってますよ、ご迷惑は掛けませんからご心配なく、係長」
「それとですね、あの女性二人ですが」

 被害者の柴田明子が毒殺された時に神楽殿で一緒に出番待ちしていた二人の女性達は、互いに初対面でたまたま一緒になっただけで何も繋がりのない事が判明した。さらに柴田明子とも接点がまったくなく、彼女達の共犯の線はまったく無い事が調べによってはっきりした。


 サギ草祭り

 柴田明子毒殺事件で犯人可能性のある人物の中で、まだ接触出来ていないのは香山恵子だけとなった。
 だが香山恵子は現在所在不明で、その行方を捜査中だ。

 山本刑事と純平は、事件の関係者として被害者柴田明子の婚約者川口耕造に、念のため話を聞いてみる事にした。
 わざわざ土曜日の午後を選び、人目を考えて自宅での聞き取りを選んで出掛けたが、当人の川口耕造は出張で不在だった。しかし、川口耕造の母親が在宅で話を聞く事が出来た。OLから聞いた話では母親も事件関係者の一人には違いないので、これは案外都合がよかったかも知れないと山本刑事は思った。
「息子さんの婚約者柴田明子がお亡くなりになりましたが」
「殺されるなんてね、何か理由があったんでしょ」
 息子の婚約者が殺されたと言うのに、他人事の様に母親は軽く応えた。
 山本刑事はちょっと驚いが、まあ決まっていた婚約者を簡単に取り替えたくらいの母親だからそんなものか納得させた。
「何か事件で心当たりの様な事でもありませんか」
「まだ、嫁でもないのにありません。殺される様な事した女なんて川口家とは関係ありませんから」
「そうですか」
 山本刑事は、ちょっと柴田明子の事が可哀想になってきた。
「まったく迷惑な事」
「耕造さん、婚約者がこんな事になって気を落とされているでしょうね、元婚約者とは言え、飯田早苗さんまでお亡くなりになって」
「耕造さんを丸め込んで、あの女には私まですっかり騙されたわ。耕造さんは将来社長になるのだから、あんな女と結婚しなくて良かったわ」
 川口耕造はグリーン食品の前社長の息子で、ゆくゆくはグリーン食品の社長になる予定らしい。
 取り敢えず川口耕造の母親の聞き取りを終えて外に出た。山本刑事は思わずため息をついた。
「もしかしたら、柴田明子が川口耕造と結婚して将来社長婦人になると、島田は柴田明子自分の弱点を握っている時限爆弾になるかも知れない」
「そう考えると・・・用が済んだ柴田明子を島田が殺した。島田義雄の犯行の可能性は大ですね」
「そうだな・・・可能性は高いな」
 純平の問い掛けにそう応えたが、死んだ飯田早苗と柴田明子に対する川口耕造の母親の対応がさすがの山本刑事も何だかやるせなくなってきた。
 数日後、川口耕造に聞き取りを行ったが、プライベートの事と言われ母親と同じ様な事しか聞けなかった。念のため母親と川口耕造の事件発生時のアリバイを確認したが二人とも第三者が絡んだアリバイがあった。

 香山恵子についてはいぜんとして行方が掴めていない。会社に事情を聞こうと試みたが、香山恵子は依願退職であり個人的な理由の退職で会社自体は関係ないと、個人に関しての事は個人情報保護の関係でそれ以上の回答は拒否された。
 更に会社の商品情報漏洩事件など社内では起こっていないと否定され会社の協力は得られなかった。
 香山恵子当人の所在捜査に関しても、OLから聞いた噂話の域を脱していない為、容疑者として公には手配できずに刑事課内での内定捜査に留まり進展していない。