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ゾディアック 5

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「 完璧を装う・・ 仮面の後ろに隠れるのをやめ、己の真の姿を見よ。
おまえと共にいる者は 誰か? おまえは・・ ウリエル 」

風が止んだ・・

「 おまえは常に、おまえと共にある。
己の孤高の道を信頼した時・・ おまえの孤独から解放される! 」苦しい息で叫んだ
締め付けられる胸の苦しさが消えていった・・ ずり落ちかけたベットの上から 静かに目を開けると、窓に 欠け行く月が見えていた。

相対の闇、状態の光。
私達は、独りで行かねばならない
共に在る者は・・ 常に己の光
そこでは、天使界と繋がっている。

アイがいつも あなたと共に・・
あなたがいつも アイと共に・・


朝、ナアナからの電話で目が覚めた。
「 マリオン、昨日オヤジに言っちゃった・・ 気持ち悪いから止めてって、大丈夫かな・・ 」
「 大丈夫だよ。彼にはウリエルが付いてる 」



~ 35 ~


夜の森に 咽び泣く声が聞こえる
猫の鳴き声・・?  
吹き抜ける・・ 風の音

月明かりに照らされた 湖にさざ波が立つ
黒く焼けた塵が 風に舞う
嘗てそこにあった灯は、今はもう無い
笑い声も消え去った

夜の森に 咽び泣く声が聞こえる
吹き抜ける 風の音・・
  吹き抜ける 風の音・・

屍の影に 夜を纏う者が立つ
紺碧の闇の奥から、
深い眼の光がじっと見つめる
金色の輝く羽根が 夜空に立ち昇る

智天使ウリエルは囁く


「 あなたは1人で行かねばならない
自分の心の深淵から 聞こえて来る声を聞いているだろうか?
誰が正しいかではなく 何が正しいかだ
あなたは1人で行かねばならない・・ 」
 

前世の夢、白い倍音の魔法使いと呼ばれ
激しい魔女狩りに遭った 弾圧が吹き荒れた暗黒時代
遠い昔の・・

私はベットから起き上がった、まだ頭が重く微かに 胸が痛んだ,
フラフラと洗面に行き 水を一杯飲んだ。
吹き抜ける風の音が、まだ耳に残っていた。


店の受付に座っていると、着信が鳴った、ラムカからだ。
「 タッチセラピーとタロッシュの人数が集まりました。こちらで何か用意する物がありますか? 」
コンシェルジュだった時の前世と同じ、ラムカがシャロンで 人を相手に サロンを開く日が決まった。
何が起こるのか・・ 期待に胸が高鳴った。
ラムカがホットストーンに来た日、タロッシュⅩⅦ 星のカードを引いた。

希望の光 
「 喩え この身が消え去ろうとも、心と魂は永遠に。その真実の聖霊と共に在らん事を 」
前世 ラムカが天に祈った、天使界との誓約

その約束を果たす為に、ルシフェルは 屍になったラムカを導いた「 おまえの状態として光へ・・ 」

ラムカの後ろには、漆喰の宇宙が広がっていた。
大いなる神秘を顕現に記し、
聖なる諮詢に魂を導く 真実の守護者トート
タロッシュと共に 秘密結社の奥義の象徴だった

「 マリオンさん、これ・・ 」ミオナが声をかけて来た。
見ると 白く長い羽根を手に持っていた。
「 来る時、落ちて来たんです。思わず拾っちゃいました 」
「 大きな羽根だね。目の前に落ちて来るなんて、珍しいね。幸運のメッせージかも 」羽根に触れると、ミオナにホログラムの画像が被さって見えた。

銀色のトライアングルをクルクルと回す、白い天使の姿
砂の中に そびえる螺旋状の高い塔の、一番高い窓には
時を操る守護天使が住む、ガブリエルは囁く

「 時は来るもの・・ 」
機は満ちて、五感を超越した新しい世界を知る。

「 また68-95のナンバーを見ましたよ 」ミオナが笑いながら言った。
「 エンジェルメッセージだ 」


シャノンでやるコラボセラピーの為のオイルを買いに、アロマショップに行った。
チリンチリン・・ 扉を開くと、馴染みの店員がにこやかに声をかけてきた。 
「 いらっしゃいませ。マリオンさん、オイルが出来てますよ 」
そう言うと、奥の棚から青い瓶を取り出して来た。

「 クラリセージ、ヒソップ、スパイクナード、ベチバー、レモン、ブルガリアラベンダー・・ 今回の選択も特殊ですね。
肉体疲労や免疫力の回復もさることながら、神経バランスを整え抗鬱 鎮静作用の高いものばかり・・
静寂の精油と呼ばれるベチバーや 、スパイクナード別名ナルデの古代精油、修道士や聖堂騎士が使ったと言われるヒソップ、
メンタル面に働きかけ、悲しみや傷を癒す最強の強壮剤・・ どんな酷いトラウマのセラピーに使われるのですか? 」
店員は冗談ぽく笑いながら言った。

「 光を取り戻す・・ 昔の約束でね 」私は言った。
「 はい? 」店員はぽかんとしていたが、お礼と支払を済ませ店を出ようとした
「 あ、マリオンさん、そのオイルの名前は?」
「 アマル・・ 」私が言った。

「 アマルって? 」車に乗りながら 概念がグルグルと回った途端「 希望 」と答えた。
「 アルマ アマル? 魂の希望・・ 」天使界との約束


遥かな星を越えて 遠く
時の果てより呼びかける。
女神の思し召しにより導かれる者達を
人は それを運命と呼ぶ


着信が鳴った、ナアナからだ。
「 マリオン、シャロンでのコラボセラピーに私も参加するね。ラムカさんに逢うのを楽しみにしてるよ 」

時は来るもの



~ 36 ~


カラカラ・・ 扉が開き誰かが入って来た。
「 こんにちは・・ 」
「 いらっしゃい、ソフィアさん 」ラムカの知り合いだった。

「 ようこそシャロンへ 初めにホットストーンセラピーをして頂いて、次にタロッシュをしますね。どうぞこちらへ・・ 」
カーテンが開いて、私の方へ入って来た。

青い服を着た、何処かエキゾチックな 細い線の女性だ 
「 はじめまして・・ よろしくお願いします 」クールな声で言った。
「 こんにちは・・ では服を脱いで ベットにうつ伏せでお願いします 」

彼女は つい立の影で脱衣籠にシュルシュルと服を脱いだ。
正面に映る 鏡窓の向こう側から、こちらを伺う視線を感じた。
ベットの頭上のシャンデリアが僅かに揺れた。

ガウンを羽織ったソフィアがベットに横になった。細く透けるような白い肌だった
オイルを手に取り、彼女の細い肩甲骨に塗った・・
この日の為に用意したアルマ アマルと名付けたオイルの、重く深い香りが鼻に入って来た。 

静寂の精油ベチバー、スパイクナード別名ナルデの古代精油が、土の香りを漂わせる深みと、修道士や聖堂騎士が使ったと言われるヒソップの
草を渡る風のような爽やかさ、高貴な甘いブルガリアラベンダーの香りが・・ 松果体の奥深くまで届き 深い陶酔の世界へ誘った。
 
チリチリ・・ またベットのシャンデリアが僅かに揺れた・・


その瞬間、ドーーーン!!ドーーーン!!大きな地響きがして
ビリビリ・・ と空気が震えた。「 地震!? 」私は手を止め辺りを見回した。
ソフィアは うつ伏せたままピクリとも動かない・・ 「 ラムカは? 」私は鏡窓を見た。
ラムカも騒いで出てくる様子は無かった。あれだけの揺れを、誰も気付かない筈は無いのに・・

周りはシーンと静まりかえり ゆったりとした音楽だけが流れていた。まるで時間が止まっているかのように
作品名:ゾディアック 5 作家名:sakura