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アナザーワールドへようこそっ!  第一章  【003】

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  【003】



――前略、

「前世で死んだ俺」は、今、「アナザーワールド」という「魔法」が存在する「異世界」で、「指導者(ガイド)」という「変な(おバカ)美少女」からこの世界のことを教えてもらってます。


 うーむ……何だか「昨今のラノベタイトル」のようだ。


 そんなことは、さておき。


「で? それじゃあ、これからどうすんだ?」

 俺は「指導者(ガイド)のシーナ」にこれからの行動について相談してみた。

「そんなの、この『王立中央魔法アカデミー』という所に向かうに決まってるだろうっ!」
「そうだな。で、場所は?」
「場所?……さあ?」

 この有様である。

「指導者(ガイド)」という看板は、もう下ろしても良いのでは?

 とりあえず、この「美少女(おバカ)」は今のところ役に立たないようなので(これから役に立つのかも不明)、いろいろと考えてみようと思う。


 今、俺たち二人は「異世界」……「アナザーワールド」にいるが、正直、ここが「異世界」とはピンとこない。

 それもそのはず、周りは草原だらけで、民家はおろか建物(人口建造物)する見当たらないからだ。

 空を見上げても、青空が広がり、雲は風にまかせてゆったりと流れている……どこぞの「北海道」のような風景だ。

 そんな感じで、目に入ってくるものすべてが今のところ、地球と何ら変わらないので、むしろ、ここは地球なんじゃないか? と思ってしまうし、それどころか「自分が死んで異世界に来た」なんてことは「ただの夢」のようにさえ思える。


 ぎゅうううううーーーー。


 すると、いきなりシーナが横から頬をつねってきた。

「い、痛ててて…………な、なんらよ、いひなりっ!」
「あ、いや……何かお前が『これは、ただの夢なんだっ!』と思っているみたいだったので現実に戻してやったのだ」
「そ、そんなこと思ってねーよ」
「そうか……」

 こ、こいつ……おバカのくせに、こういうところだけは本当に鋭いな。

「と、ところで、シーナ……その『メモ帳』なんだけど、ちょっと見せてくれないか?」
「? 何でだ?」
「いや、今、俺たちはこの世界のどの辺りにいるのかとか、この世界の事情みたいなものを調べておきたいんだよ」
「それなら、まかしとけっ! だから、だから、それはわたしがやってやろう」
「あ、いや……」


「お前、予習できてないし、見落とし多そうなんだもん」


……とは、口が裂けても言えませんでした。

 だって「わたしにまかせとけオーラ」が眩しかったんだもん。


「それに……」

「それに?」
「別に見せてやってもいいが、お前にはたぶん…………読めん」
「えっ?」

 読めない? どういうことだ?

 使っている文字が「日本語」じゃないから、とか、そういうこと?

「ホレ……」

 そういうと、シーナは俺にその「メモ帳」を渡した。

 俺はそれを受け取り、中を見てみた。すると、

「あ……」

 読めない。

 いや、正確には、その「メモ帳」には…………「何も書かれていなかった」。

「お、おい! これ、何も書いてないじゃないか?」
「だろ? だから言ったろ? お前には読めないって」
「い、いや、読めないとかそういうことじゃなくて……そもそも、ここには文字も何も書かれてないじゃんっ!」
「いや書いてある。ただ、お前の感覚では、それ(メモ帳に書いてある情報)を読み取ることができていないだけだ」


「??? ふぁっ?!」


 まったく意味がわかりませんがっ。

「まあ、気にするな。これは『そういうもん』だから」
「気になるよっ! どういうことなんだよ? あっ……もしかして、これが『魔法』ってやつか?」
「いいや違う。『魔法』はこの世界、アナザーワールドにある力なだけで、わたしが言っている話とは関係ない。お前の持っている常識の範囲内で簡単に言えば、この『メモ帳』には『この世界の取扱説明書』みたいなものが書いてある。それを、お前が読むのは『ルール違反』『ゲームの攻略本を見るようなもの』になってしまう……だから、お前には読めないようになっているというわけだ」


「な……」


 なるほど。

 ちょっと納得した。でも……、

 こうやってシーナが賢そうに説明しているのが、どうしても、うさんくさく見えてしまい、つい疑ってしまう


 ぎゅうううううーーーー。


「痛てててて……!!」
「……お前、今、わたしのことバカにしたようなこと考えてたろ?」
「ひょ……ひょんなこと……ない……れす」
「本当か~?」
「ホンロ、ホンロ……ら、らから……離ひて」
「……うぬぬ、ふんっ!」

 俺は、何とか誤魔化してシーナの「頬つね」から解放された。

 それにしても、こいつの「直感力」ぱねーよ。

 というわけで、読めないものはしょうがないので、シーナにとりあえず「俺たちが今いる場所」についての情報がないか調べてもらった。

「うーん………………あ、あった! あったぞ、隼人!」

 シーナが、うれしそうに報告してきた。

 うーむ、かわいい。

「今、わたしたちがいるところは『アナザーワールド』の中央にある大陸で、『人間族が住んでいる大陸』らしいぞ」
「人間族? それって……俺たちみたいな『人間』以外に他にも種族がいるってこと?」
「ああ。この世界には、『人間界』を合わせて全部で『5つの種族』がいるらしい」
「5つもっ! 多っ!」
「『人間族』『小人族』『巨人族』『獣人族』『妖精族』の5つだ」
「へー」

 地球では「人間と対立する種族」は存在しなかったけど、ここでは、「人間と対立できる種族」が存在するってことか……しかも、5種族も。

 ということは、地球みたいに「同種族同士である人間同士の争い」だけじゃなく、「異種族との争い」もあるってことか……。

 ただ、何となく。

 ガラにもなく。

 俺は、そんなことを思い浮かべていた。


 ぎゅうううううーーーー。


 シーナが「頬つね」をお見舞いしてきた。

「い、痛ててて……な、なんらよっ! 俺は、何も変ら事、考えへ、らいろっ!」
「……今日のお話は、ここまでっ!」

「ふぁっ! メタ発言っ!」