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かざぐるま
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novelistID. 45528
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欲望の方舟 ~選ばれしモノたち~

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 電話口から聞こえる武本の声は、なぜか妙に楽しそうだ。
「ご理解感謝します。こちらからのボートの受け入れをよろしくお願いします。では六十分後に」
 電話を部下に渡すと、大場は静かに目をつぶった。
――六十分後、二隻の最新イージス艦が、旧高知港から十八キロの海上に居た。その姿は、鉄のクジラがじゃれあいながらランデブーしているようにも見える。青い海に二本の白い航跡を引いて、エターナル目指してまっすぐ舵をとっていた。
 武本の予想通り、二艦とも出港時の人数のままで、誰一人として欠けることは無かった。

「六時のニュースです。日本の最新イージス艦二隻が、エターナル側に軍事協力の申し出を行った模様です。政府関係筋によりますと、事実は未確認であり現状では何も申し上げられないとのことです」
 ニュースの画面には太田の顔写真と、艦長たちの写真が映し出されている。
 エターナル関係のニュースは連日取り上げられ、エターナルに入国したいという日本国民が続々と名乗りを上げていた。これに伴い、政府も世論を操作する事が段々と難しくなっているのが現状だ。
 以下は、二時間後に発表されたエターナルからの声明である。
「エターナルは、艦長二名と乗組員560名を正式にエターナル国民として歓迎し、その家族も喜んで迎え入れる用意がある。彼らは決して裏切り者ではない。同民族を攻撃できないという当然の決断を下しただけである。われわれは、彼らの勇気を称えたい」