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繰り返されるデッサンと憂鬱

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そこに立って。ゆっくり、そう。窓を背にして、太陽の光を受けて。今日は天気が良いから綺麗に影が出来る。風もゆるく吹いているから、その長い髪がたまに揺れるのがまた、いいね。

緊張しないで。リラックスして、少しずつ息をして。目線はどこを向いていてもいいから。僕を見ていてもいいし、どこか遠くを見ていてもらってもいい。

それじゃ今からデッサンを始めるけど、その間、簡単な質問をさせてもらう。固くならなくていいよ、本当に簡単なものだから。僕がひとつ質問をして、君がそれに答える。余計な言葉は要らないよ。ひとつの質問に対して、ひとつの答え。もちろん、答えたくなければ無視してもらっても大丈夫。

じゃあまず、ひとつめ。君は、どんな色が好き?

そうか、黒と、あと緑が好きなのか。僕もそのふたつは好きだな。あとは、紺色とか。あまりはっきりとした原色は好きじゃないんだね、僕もだ。赤とか黄色とか、どうも扱っていて心が落ち着かない。その辺りは僕たち、気が合うんだね。

次に、ふたつめ。普段、どんな音楽を聴く?

クラシックか。僕も好きだな。こうやって絵を描いている時なんかは、ゆったりとしたクラシックが本当によく合う。折角だから、今日も何か流すかい? この部屋にはクラシックのCDしか置いていないから、丁度よかったな。

みっつめ。そろそろ、お腹が空いてこない?

ああ、ああ、そうだった。君は空腹を感じないんだったね、うっかりしてた。つい、僕が少し小腹が空いてきたところだったから。悪かったね、この質問は意味のないものだった。君が食事を必要としないんだってこと、忘れてたよ。

それでは、最後に。動けなくて、困ったことはない?

君の肌はそんなに美しく透き通っているのに、触れてみるととても固いね。髪の毛だって、今みたいに光を受けて輝いているのを見るとため息が出るほどなのに、まるで人形の髪みたいだ。自分の意思で自由に動けないし、それはとても困るだろう? 僕が一日中傍にいるから安心だろうけど、僕が買い物に出ている間なんかは、とても不自由だろうね。

さて、僕のデッサンも終わったよ。

毎日毎日、付き合ってくれてありがとう。君を見ていると、どうも描きたくてたまらなくなるんだ。おかげでこの部屋も君の絵でいっぱいだね。そろそろ、もっと広い部屋に引っ越さなければならないかも。

もしそうなったら、次はどんな部屋がいい?
希望を言ってくれれば、僕が探しに行くから。

その時は、一緒に行こうね。