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美羽@禮(れい)
美羽@禮(れい)
novelistID. 49531
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電車。

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電車。

6月17日。
丁度5年前の今日にこの時間に電車に乗っていた。

『んー満員か・・・』

満員電車で押し潰されるんじゃないかって思うくらい混んでいた。周りは帰宅中のおじ様ばかり。
でも。

『あれ?狭くない・・・?』

『これで暑くないし、痴漢の心配もないでしょ?俺の手もほら。ここだし。ね?』

『すいませんっ』

『いいよ。俺ももう降りちゃうし。』

『私も。』

『じゃあ一緒に降りっか!』

『はい・・・』

- ガタンガタン ガタンガタン -

『じゃあねーまた、会えたら。』

『ぁっ、あのっ』

『ん?なに?』

『今度お礼するんでっ!!』

『あははっ!楽しみだ♪じゃあねー。』
こんな感じで関係は進んでいった。私には勿体ないくらいのいい友達とも彼のお陰で会えた。

彼は私の“大切な人だった。”
過去形になってしまうけど。
とても良い人だった。私には勿体ないくらいのかっこ良い人だった。
彼はあの日突然私の前から姿を消してしまった。

『俺と別れて欲しい。』

『へ?どーゆう・・・?』

『俺とはもういられないんだ。』

『え?・・・な・・・』

『じゃあ、幸せにな。』

- バタン -

『な・・・で・・・っ』

それから数ヵ月たったあの日。病院から電話が来た。

『美霞さんですか?』

『そうですけど?』

『拓人さんが亡くなられました。』

『え・・・?』

『最期に貴女に逢いたいと一言いってから・・・』

『今から行きますっ!』

彼は自分の死期を悟って私から離れていった。
それに気づけなかった。
でも。
せめて私達が、出逢って離れて逢えないまま永遠に別れてしまったこの大切で忘れられないこの日に。
電車に乗って。
「拓人。そっちでは元気?私は大丈夫だよ。あなたとの子供もすくすく育ってます!だから心配しないでね!ね?美空?」

「うん!おとーさん、わたしだいじょーふだよっ!」

大好きだよ。
ずっと忘れない。
貴方との記憶と子と電車の事ともに私は強く生きて行きますっ!
作品名:電車。 作家名:美羽@禮(れい)