小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
春本 美穂
春本 美穂
novelistID. 49342
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ミーシャの冒険 5

INDEX|1ページ/1ページ|

 
ミーシャの冒険 5


 パチン
 
 闇姫が目の高さで指を鳴らすと、周囲の岩陰が金色に輝いて、鍾乳石は様々な調度品に姿を変え、白いテーブルの上には山盛りの果物が入った深皿やスープの入った壺、焼き物の肉や野菜を盛った皿などが一瞬にして現れた。

「どうぞ、おなかがすいているでしょう?」
 そう言われてみれば、家を出てからずっと堅焼きパンと葡萄酒ばかりだ。
しかし、ミーシャは得体の知れない料理を口にする気にはなれなかった。
 闇姫は、そんなミーシャの心を読んだかのように
「だいじょうぶよ、別に食べたら地上に戻れないなんて事はないから」
「だって、いきなり・・・」
「ああ、これらはね、いきなり出来たんじゃないのよ」
「え?」
「もともとここで西の神を迎えて宴会する予定だったから、私の城の厨房で作らせていた物を移動させただけなの」
 人間が移動できるのだから、料理を移動させることくらい簡単なことなのだろう。
「西の神って?」
「西の森に住むカミカミの神」
「カミカミ?」
「昔の言葉で、グミの事よ。西の神はもともとグミに宿る妖精だったの」
花の精にグミの精、そのうち桑の実の精まで出てきそうだ・・・
「今は山の神みたいなことをしているみたいよ。朝西の空がイチゴミルク色に染まるでしょ?あれ西の神が趣味でやっているらしいわよ」
「そ、そうだったんだ・・・」
「まあ、西の神はそのうち来るから、先に食べちゃっていいわよ」
「いや、そういうわけには・・・」
 ミーシャが躊躇っていると、闇姫は善意に解釈したらしく
「まあ、ずいぶんとお行儀が良い方なのね」
そう言うと、ふわっとした笑顔をミーシャに向けた。
魔物なのに、いや、魔物だからなのか、この美しさは反則だ、とミーシャは思う。

「ごめぇん、待った〜?」

 突然現れるのには慣れてきたミーシャであったが、目の前にいきなり顔が現れたのには、驚きの声さえも出なかった。
息が掛かりそうなほど、近い・・・
ミーシャをまっすぐに捉える大きな瞳には、壁の金色が映り込み、妖しく光る。
「いきなり森のお芋を盗む人間がいて、大騒ぎになってたの」
「こっちよ、こっち」
ミーシャに語りはじめたその人物?は闇姫の声に振り向いて
「あれ? 姫、そっちにいたの?」
振り向いた拍子に、長い青い髪がミーシャの鼻先を掠めた。
バニラのような甘い香りが漂う。
「この子が西の神よ」
闇姫は少し呆れたような声でミーシャに紹介をした。
「あ、どうも、ミーシャです」
この子って、闇姫は神よりも上位なのか?
「まずは、さあさあ、座って」
「はぁい」
 闇姫は手慣れた感じで西の神を蔦で編んだ椅子に座らせた。
西の神は腰を下ろすと、とても座り心地がよいらしくうっとりとした表情で目を閉じた。
「ミーシャちゃんも座りなさい」
闇姫が手をひらひらと振ると、目の前に艶やかな緑の布を貼った椅子が現れた。
作品名:ミーシャの冒険 5 作家名:春本 美穂