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覇王伝__蒼剣の舞い1

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プロローグ:すべてのはじまり



 今を遡る事七年前__、四国(しこく)と呼ばれるその地は、とても平和であった。
 一人の男が、荒れる四つの地を纏め統一し、以後数十年、国も人も何の憂いもなく、戦も起こらぬ平和な地であった。
 彼の地を統一し王となった男は、覇王(はおう)と呼ばれ、以後その名は代々受け継がれていく事になる。
 だが、いつからだろう。覇王が、欲望の対象になったのは。
 力でねじ伏せれば覇王に誰でもなれると、云われるようになってしまったのは。
 そう、すべては一降りの剣から始まったのだ。
 天を裂くと云う力を秘めた、覇王だけが手に出来る剣“蒼剣(そうけん)”。この剣が、人の欲を膨らませ、やがて戦わせしめる。 だが、蒼剣はそれだけではない。己の主を選ぶ意思をもっていた。
 後に、かの地は四つに分かれ、四人の王がそれぞれの地を治めるに至る。前の覇王が後継を誰と遺言しなかったのと、蒼剣が覇王の死去と共に姿を消した為だ。
 覇王の死から七年後___かの地“四国”は再び大きく揺れ動く。