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漢字一文字の旅  第三巻

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十三の四  【諦】


【諦】、右部の「帝」は神を祭る時に使う祭卓の形だそうな。その祭卓で祭るのが天(あま)つ神で、帝だとか。
そしてその祭卓の脚を結んで、しめることが糸偏の「締」。

ならば言偏の【諦】は?
帝王の言うことには逆らえません、だから、【諦める】(あきらめる)なのです。
というような奇妙な解釈が世間にはあるようだが、祭卓をもって、「つまびらかにする」と解釈した方がよさそうだ。
そして事情がはっきりすれば、あとは「あきらめるしかない」ということで、【諦める】(あきらめる)の意味になったようだ。

そんな回りくどい【諦める】、英語では……Let it go. と言う。

Let it go, let it go
Can’t hold it back anymore
Let it go, let it go
Turn away and slam the door

これは「アナと雪の女王」の ♪ 降り始めた雪は足あと消して…♪ で始まる名曲「Let It Go」だ。
そして ♪ ありのままの姿見せるのよ ♪ と続いて行く。

最初この歌詞を聴いて、 ♪ 『蟻』のままの姿見せるのよ ♪ と、なぜ『蟻』なんだ! と思われた方が多い…、いや、鮎風だけでしたが。

それにしても、この「Let it go.」が「ありのままの」とか「ありのままで」と意訳された。
そして名曲「Let it go.」はどこをとっても、とんでもなく意訳なのだ。

例えば、上の歌詞は
♪ ありのままの姿見せるのよ
♪ ありのままの自分になるの
どこにも「これ以上は抑えられない。背を向け、ドアを閉める」が表現されてない。

この現象は、英語に比べ日本語が、同じ時間の中で伝達できる情報量が極端に少ないからだと言われている。
確かに、まともに訳して、「これ以上は抑えられない。背を向け、ドアを閉める」なんて歌ってたら、浄瑠璃の分野になってしまうかもね。

そういう意味では、ありのままの姿見せるのよ、と英文4行を日本文2行に短縮し、それでもなんとなくぼんやりと状況がわかるから、意訳した人が素晴らしいと賞賛するしかない。

されどもだ、ただ忘れて欲しくない。
――『蟻』のままの姿見せるのよ――と誤解するヤツもおりまっせ。

ということで、(ありのまま)には【諦りのまま】にと当て字を新たに作って欲しいものだ。