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漢字一文字の旅  第三巻

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十二の六  【光】



【光】、これは「火」と「人」の組み合わせだとか。
つまり「人」の頭上に「火」をかざしている形だそうな。

他に同じような組み合わせがある。「見」とか「先」とかだ。
「見」は「人」の上に「目」、これで「見る」。
「先」は「人」の上に足跡の形の「止」をおいて「先」。
いろいろあるものだ。

そして最近話題になったのが――LED(light emitting diode)、つまり光を放射する半導体素子。
赤崎勇教授、天野浩教授、中村修二教授の三氏が2014年のノーベル物理学賞を受賞した。
理由は、明るくエネルギー消費の少ない白色光源を可能にした高効率な青色LEDの発明。そして、20世紀は白熱灯が照らし、21世紀はLEDが照らす。
スウェーデン王立科学アカデミーはこう締め括った。

光の色は赤・緑・青の3原色が混じり、あらゆる色が現出する。そして全部混ぜ合わせば白色となる。
この中の赤色と緑色の開発はすでに終わっていた。
しかし、青色は20世紀中は不可能とされていて、このため白色は作れないことになっていた。
しかし、三氏による努力により、それは可能となった。

素晴らしいことだ。
このようにして、最近のイルミネーションはほとんどLEDが使われるようになった。

しかし、ここで、待った! がかかったのだ。
冬の風物詩の神戸ルミナリエは東日本大震災以降LEDに切り替わってきた。
だが、声が上がった。光が冷たい、と。
この評判に応え、2014年からすべて白熱電球と白熱灯に戻されたのだ。

この事実を知り、人間の感性とはなんと奥深いものかと感銘せざるを得ない。
世の中がノーベル賞で盛り上がる中、LEDにノーを突き付けたのだから、こんな凄いことはない。

ひょっとすれば、我々人間は【光】に対し、「ぬくもり」や「ゆらぎ」のような曖昧な要素も求めているのだろう。
とにかく【光】は、「火」と「人」が組み合わさった漢字だから、と一応ここでは結論しておこう。