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漢字一文字の旅  第三巻

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十の六  【栗】



【栗】、枝の上に三個のくりの実をつけた形だとか。
なるほど、そういうことかと思うが、なかなかそのように見えてこない。

そんな秋の味覚の【栗】。
その【栗】を使った渋皮煮というのがある。

渋皮?
そんなの渋くって食べたくないと思うが、渋皮にはタンニンや血糖値抑制効果があるポリフェノールが多く含まれ、美白に良い。
また茶渋の1.5倍の抗酸化作用があり、老化防止やガン予防効果があるとか。
だが重曹と、鬼皮を剥くため圧力釜が必要で、結構面倒くさそう。

昔、ずる賢い猿がいた。その猿におだてられた猫が囲炉裏の中の焼けた栗を拾い上げた。
しかし、その栗はまんまと猿に食べられてしまう。
そして猫は、やけどをしただけだった。

これはフランスの寓話であり、ここから「火中の栗を拾う」ということわざが生まれたそうな。

だから調子に乗って、【栗】の渋皮煮を作っても、鬼皮を剥く時にナイフで指を切ったり、出来上がってもどこまでも渋いとか。
こんな悪い予感がするので、料理するのは止めておこう。

棚からぼた餅、神棚から【栗】饅頭。
【栗】という字、どことなく巫山戯ていて、ポジティブになれない漢字なのだ。