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漢字一文字の旅  第三巻

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十五の一  【底】



【底】、「广」の中にある字はナイフで底を削って平らにする意味。
「广」は建物の屋根の形であることから、建物の底辺の平らなところを【底】(そこ)と言うらしい。

しかし、【底】は建物だけではない。海にも川にも井戸にもある。
そして湖にもある。

日本で一番大きな湖、それは琵琶湖。400万年の歴史を持つ世界で三番目に古い古代湖だ。
そして今の形になったのが40万年前とされている。
当然、この間、湖底には人の手が入っていない。静かに眠り続けてきたと考えて良いだろう。
ということは、宇宙からの飛来物、たとえば隕石などが、百年に1個落下したとしても……、手つかずに4千個はあるということだ。
これはひょっとして、湖の底であるにも関わらず宝の山なのかも知れない。

しかし、これ以上に、とんでもないミステリーがあったのだ。
近年、湖底から100箇所に及ぶ縄文、弥生時代の湖底遺跡が発見されている。
多くは東岸地区で、水深5メートル前後の【底】からとなっている。
これは時代とともに琵琶湖が大きくなったり小さくなったりしてきた。つまり、増水により湖岸に住んでいた漁民たちの村が沈んだものと理解できる。

しかし、ここに一つだけ、まったく不思議な湖底遺跡がある。
それはまだ世間ではあまり知られていない――葛篭尾崎(つづらおさき)遺跡だ。
位置としては奥琵琶湖にある竹生島(ちくぶしま)より北、湖に突き出した葛籠尾崎の先端。
その水深70メートルの湖底から発見された

えっ、70メートルの湖底に、かって人が住んでた、てこと?
現在の琵琶湖の最深部は104メートル。
一番深い所に近い場所で、人間の暮らしが営まれていたことになる。

これって本当に人類?
いや、墜落した宇宙人? それとも魚人?
だが今ももってこのミステリーは解かれていない。

【底】の謎はやっぱり深いのだ。