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アラフォー同窓会

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まず明美。NY出身の彼アンソニーと偶然街で会った。結婚式でも彼女らの家にも招待されている私は彼に顔を覚えられている。彼はたどたどしい日本語で、
「ミオ久しぶり。よろしかったらコーヒーでも一緒に飲みませんか?」
「ええ。いいわよ。じょああそこのスタバで」
 私は彼とスタバに入った。
 彼と話すのは初めてではない。アンソニーは、
「もう明美はひどいよ。家事をやらない。自分の意見を一切曲げない。高い服買う。高い食材買う。お金なくてもだよ」
「明美は昔から自己主張が強くてね。セレブ気質だし」
「アメリカでも相手の意見を聞いて、自分の意見を言う。明美は自分の意見だけ言う」
「そうね。そういうところあるわね」
 アンソニーは、
「明美はTOEIC900点取ってるから英語ペラペラかと思った。でもときどき私の話分かっていないのに、相槌うっているの分かった。今では私が日本語覚えて、日本語で生活している」
「そうなんだ。大変だね」
「日本の女性は最高だと聞いたががっかりだ」

 次に教師同士で結婚をした幸子。25で結婚をして7年間子宝に恵まれなかった彼女だが聖職でありながら自らの性体験を平然とした顔で話す。私の聞いた幸子の話は、

「ある時彼とSEXをしていた時の話なの。私達のハイツは隣の音が筒抜けでちょうど私達がしている時、隣でトランペットの練習をしている音が聞こえるの。夕方の6時頃だけど。せっかくのムードが台無しだわ。私も彼もそのトランペットの所為でなかなか、いかなくなっちゃって。彼は必死になって頑張っていたの。そのあと私達は子供を授かったの。日数を逆算すると、どうやら私達の子供はそのトランペットの日にできた子供だわ」
 彼女の話には続きがあって、おなかも膨らみだした頃、彼が『トランペットの日にできた子だから、名前は“寅”が付く名前にしようか』と言って、幸子は頭にきて、『信じられない』と言って家を飛び出し、高知の実家に帰ったそうだ。
 その後彼は有給を使って新幹線に乗って、フェリーに乗って彼女の実家まで謝りに行った。
 許してあげる条件として彼女が掲げたこれらの決まりは全部で17つ、
1、 これからも赤ん坊が生まれた後もキャバクラには一切いかない
2、 お小遣いは一か月1万5千円まで
3、 家の事を少しは手伝う
4、 ごみは当日の朝に出す
5、 家に帰ってきたらまず靴下を脱ぎ、足を洗ってからくつろぐ
6、 夜の11時以降はカップラーメンを食べない。使ったらガスの元栓は必ず閉める
7、 家での事を職場で冗談でも話さない
8、 お風呂のお湯は洗濯に使うので捨てないでおく
9、 テレビを見ながら寝ない
10、お酒はビール換算で一日多くて1000mlまで
11、ポイントカードを持って買い物に行く。買い物の時は袋持参
12、焼酎は一番安いものをパックで買って少しずつ飲む
13、野球を見る時はDVD録画セットをするか、野球を見るのを諦めるかにする
14、他の女に目移りしない
15、AKBグッズ。AKBポスター。写真。AKB関連は買わない
16、ももいるクローバーグッズ、その他ももクロ関連は買わない
17、その他アイドル関連、グッズ等は買わない

これが幸子が挙げた第17条家庭法だ。今後彼にはこの17条を必ず守ってもらうらしい。

 次はテニス、ゴルフで活躍している宏美だが、今千葉の実家に住む独身だ。毎月、合コン、医者コン、その他出会いを求めているがなかなか彼をゲットできないらしい。彼女曰く、
「私はこの人はとても…という人からは誘いはかかってくるの。でも本当に私がいいと思う人はもう相手がいたり結婚してたり」

彼女は派遣会社に勤めているがスキューバーダイビングを今趣味にしているから月に10万円は趣味に使いたいらしい。そうなると結婚相手は、医者か弁護士か事業に成功している人とかになるが…
「宏美は高望みしすぎよー」
皆そう言うが宏美はこう言う。
「私は全然高望みしていないの。今の趣味を続けさせてくれる彼で、最低限のルックスの良さを持っていて優しい人。子供も欲しいから専業主婦で生活が成り立つ人」

 次に瑠璃子。彼女は芸術家の彼を支えているが、それは相当献身的に支えているようだ。
彼は名前こそ売れているがパーソナリティー障害のけがあるらしく、酒が飲み足りない時冷蔵庫に酒がないだけで、相当荒れ狂うらしい。ベットシーツを代えた時、皺があっただけで、家を飛び出して飲みに行ってしまう。
 神経質で気分屋だ。彼女は自分でもこれはもはや共依存かもしれない。でも仕方がないそう言っている。
 瑠璃子の献身的に支えるエネルギーこそ世界レベルの栄誉かもしれない。

 大学在学中、18歳で結婚した友子は生まれてきた子供が知的障がいの子供だった。彼女の偉い所は、障がいの理解を得ようと、いろいろな会合にでて、話を聞き、子供を育てその子供がもうすぐ18歳で高校を卒業するらしい。その後子供の居場所がないから、子供を障がい者のグループホームに預けるらしい。そしてその職員にまかせ、たまに子供の顔を見に行く、その方がいずれ自分たちが老いて亡くなる時のための準備としていいのだろう。旦那ともそう話し合っている。旦那はまだ40歳手前、子供がグループホームに入ったら離婚して旦那は新たな人生を送りたいといっているそうだ。
 40でも男ならまだ結婚できるし子供も作れる。その点男は得だ。
 子供を持った女にとって離婚なんて選択肢ないし、毎日いつまでも若い綺麗なお母さんでいる為必死だ。
いい母である為、家事に必死になると皺も増える。こっちを立てるとこっちが立たぬ。


我々アラフォー同窓会では普段のうっ憤を晴らすため、周りの目を気にせず大きな声で話す。
「明美はちょっと自己中心的なのよ。アンソニーが可哀想じゃん」
「幸子って純粋よね。結婚記念日は必ず高知に子供を預けて、彼と二人きりでおしゃれな夜景の見える所で過ごすんだって。ところで彼17条守ってる?」
「宏美スキューバーダイビングはお金かかりすぎよ。テニスでよかったじゃない」
「瑠璃子。芸術家の彼に合わせてよ。世界が認めても私達が許さない。今度説教してやる」
「友子障がいの子供を良く育て上げたよ。子供も成人したら友子も少し自由になっていいと思うよ」
「私が死ぬのはいいの、年老いて。でも私が死んだあと子供が心配で」

 そして皆が私に話しかける。

「美央この前まで入院してたんだって?」
「うん。でも彼が仕事を終わった後毎日の様に面会に来てくれるから」
「優しいね。でもそんな時間あるの?」
「うん。今彼パートだから」
「えっこの前の仕事もう辞めちゃったの?」
「うん。そうなんだ」
 これはみんなには言わない私だけの話だけど彼は私が入院している間に仕事を辞めた。私が入院生活は退屈だ。本を読みたくても薬の副作用で小さな字を読むのが苦痛だと彼に漏らした。そうしたら彼は私の為に毎日小説を書いて割と大きめな字で、タイピングをして私に届けてくれた。この小説が案外面白い。こっそり私にお菓子も届けてくれる。
作品名:アラフォー同窓会 作家名:松橋健一