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王の愛馬~熱砂は涙に濡れて~

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それらの周囲には多くの裸の女性や男性が寝そべっているのだ。
葵は思わず息を飲んで顔をそむけた。

「シーク・ファシード、宮野葵様と付き人の時田様をお連れいたしました」
「日本からよく来てくれた。歓迎しよう」

想像していた人物とはまるで違う。
端正な顔立ちの中で鋭く光る群青の瞳は、どこか冷たい。
口調も、とても歓迎しているそれとは思えない。
先ほど大徳寺の言ったことは嘘だったのだろうか。
何かの事情で、本意ではないが自分たちを招かねばならない理由があったのだろうか。
葵は混乱していた。

「おまえたち、少し外してくれ」

そう告げると、周囲にいた享楽的な女性たちは衣服を整えて速やかに退室した。

「疲れただろう。今日はゆっくりと休むといい。
必要なものはなんでも用意しよう。…ラシフ」
「はい」
「部屋の用意はできているな」
「はい、これからご案内致します」
「晩さん会には遅れぬようにな」

部屋に案内されてからも、葵は落ち着かなかった。
早くイルバーノに会いたいという気持ちと、先ほどのファシードの様子が気になっていた。
本心としては、早くHHIGへ行ってイルバーノに乗って、練習をしたい。
少しの時間でも惜しいのだ。
しかし、今夜ひと晩だけ我慢すればいい。

晩さん会でもファシードは特にこれといって楽しげな様子ではなかった。
葵はすすめられるまま慣れない酒を飲み、思いがけず酔ってしまった。
これまで、日本競馬会の新年会以外で酒を飲んだことはなかったのだ。
気づけば部屋のベッドに寝かされていた。

「……ん…」

今何時だろうか。
時計がどこにもない。荷物の中から携帯電話を出して確かめなければならないが、
ベッドを下りるのも億劫だ。

「……」

不意に、葵は自分が裸で寝かされていることに気づいて絶句した。
どうして…。
そう思った瞬間、さらなる衝撃が葵を襲った。

「……え……!?」

隣に何かが寝ているのだ。
思わずその何かの腕に手で触れてしまい、それに気づいた。

「…目が覚めたか」
「な…っ誰ですか……!?」

電気をつけようにも何がどこにあるかもわからない。
暗闇の中で、その人物が体を起こした。
大きな上体の圧倒的な存在感に、葵は怯えてベッドから飛び降りた。
その瞬間、圧倒的な力でベッドに引き戻された。

「いや…っ!! はなして……だれか…!!」
「私を誰だと思っている」

耳元でささやかれたその冷たい声で確信した。

「……シーク…ファシード………」

◆ ◆ ◆

「いやだ…っやめ……放して……!!」
「本当に女みたいな声だな。去勢でもされているのか?」
「……っ!!」

ファシードの大きな手が葵の股間を無遠慮に掴み込んだ。
何もまとっていない裸のその部分を、ファシードの指が軽く擦る。

「一応あるんだな。ここを誰かに触らせたことはあるのか?」
「……や……っぅ……」

怖い。
身体が強張って、声すらも出せない。
震えが止まらない。
葵は身体を九の字に折り曲げて、この異常な状態をどうにか理解しようと努めた。

「…あの……待って……っ待ってくださ…い……」
「どうした」
「どうして……こんなことを……」
「決まっているだろう。おまえは私の花嫁なのだから」
「………はな……?」

はなよめ?
この男は、いったい何を言っているのか。
そうか、酔っているのか。
葵はようやく納得することができた。

「あの…酔っていらっしゃるのかもしれませんが…ぼくは男で…
あなたも男性です…。たしかにぼくは、あまり男らしくはないですが…」
「酔ってなどいない」
「……え……っ……ん……んんッ!」

唇を塞がれ、葵はそのとき初めて男の瞳を見た。
深い闇の中でも冴える群青の色。
一度食らいついたら放さない猛禽類のような鋭さだ。
この男は酔っていない。
酒の香りなどまったくしない。
葵は、いっそう困惑した。

「…婚姻の宴は来月執り行う。それまで…」
「………!!」

ファシードの指が葵の尻の間をなぞる。
男同士ではそこを使うのだと、生々しい想像が葵の脳裏をよぎった。

「ここで私のものを受け入れられるように慣らしておくんだ」
「い…っやだ……」

撥ね退けようとしても、凄まじい力で両手首を抑え込まれる。
左足は膝で抑え付けられ、少しでも動かそうものなら骨が折れそうだ。
あられもない格好で秘所を男の目前にさらけ出している。

「……っひ……ぅ……っどうして…こんな……ひどい…」

葵の頬を涙が伝う。
冗談にしてはひどすぎる。
いったい自分が何をしたというのか。

「ひどい? それは心外だ。これまで私に求められて、そんなことを言った者はひとりもいなかった」

そう言うと、ファシードはアラビア語で何か言葉を発した。
すると天幕の陰から見知らぬ男が現れ、瓶のようなものをファシードに渡した。
すぐ側にべつの人間がいたことに葵は絶句した。
まさかこれまでの自分の痴態も、すべて彼に見られていたのだろうか。
ファシードは手慣れた様子で小瓶の蓋を外すと、シーツが濡れることも厭わず
トクトクとその中の液体を葵の下肢に垂らした。

「……っなに…それ……」

ふわりと花の香りが鼻孔をかすめる。

「おまえを従順にするための薬だ」

そう告げるとファシードは、自らの夜着の腰紐を抜き取り
それで葵の両手首を縛り上げた。
いよいよ恐怖に青ざめる葵の首筋に口づけると、容赦なく細い腿を大きく開いた。

「い……った…乱暴にしないでください……」
「…馬に乗るためか」
「明日から…練習に入りますので……」

その言葉に、ファシードは喉を鳴らして笑った。

「明日は乗れないかもしれないな」
「え……っあ……! いや……っどうして……」

ファシードの二本の指が葵の秘所を押し広げ、侵入しようとしている。

「いやだ…っ!! いや……!」

構わず、入口に先ほどの薬を塗り広げる。

「………っ……!」

薬を塗られた部分が熱い。
それどころか、気づけば性器がしっかりと屹立している。
今にも達してしまいそうなほど熱い。
思わず前を隠そうにも、両手は動かすことができない。

「い…っや……見ないで……」

顔を精一杯背けることしかできない。

「うしろを触っただけでこうなってしまうとは、なかなか素質があるようだ」
「………っ」

息がかかるほど耳元で囁かれ、それだけでまた下半身が熱くなる。
これは薬のせいだ。

「おねが……も……っやめて……」
「そんな顔をされると今すぐ奪いたくなるが……理性のある夫に感謝してもらおう」
「……っふ…ぅ………ぅン……っ」

口づけとともに下肢をなぶられ、ファシードの手のひらの中に放ってしまった。
そのまま気を失ってしまえたらよかったのだが
一度火のついた神経はなかなか収まらず、それから何度もファシードによって吐精させられ
気づけば空が白みはじめていた。
いつの間にか手首の拘束は解かれていたが、ファシードの体に拘束されていることは変わらない。

「湯殿につれていってやろう」

そう言うと容易く葵の体を抱き上げた。
明るいところで改めてファシードの顔を見て、葵はとても平静ではいられず
その腕から飛び降りた。