小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

シロクロモノクローム

INDEX|44ページ/46ページ|

次のページ前のページ
 

第四十四話:マボロシ



「<私>は、いわば影のような存在。世界事態を否定した、あなた自身の心の影。そして、この世界はあなたが生み出した、現実世界の影です。本来、実体のあなたがこちらの世界に来るなんてことはありえないのですが、今現在あなたはこちらの世界にいる。おそらく意識だけがこちらに来ているのでしょう。まあ、平たく言えば、夢をみているのですよ」
「夢?」
「そう。そして夢は覚めないといけないものです。あなたがこちらの世界にいても平気な時間はあと少し。これ以上こちらの世界にいると、あなたはもう現実世界に戻ることはできなくなってしまいます」
元の世界に、現実世界に戻れない。それなら、そうだとしたら。
「ぼくは、戻りません」
クオリアさんと、コンポーザーは目を見開いた。
「あんな世界に、ぼくは戻りたくはありません。この世界に、ぼくは残ります。現実世界には、ぼくの居場所なんてない。誰もぼくの事なんて気にかけてくれない。気にかけようともしてくれない。あちらの世界では、ぼくはいてもいなくても一緒なんだ。でも、こちらの世界には、クオリアさんがいるし、カジ君、いや、コンポーザーのあなたがいる。だから、ぼくはこの世界に残りたいんです」
短い沈黙は、コンポーザーの、衝撃的な発言によって切り裂かれた。
「私たちが、あなたが作り出した幻だとしてもですか?」

作品名:シロクロモノクローム 作家名:伊織千景