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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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ヘリテイジ・セイヴァ―ズ ノベルゲームシナリオVer.

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第三章:立ち向かう勇気



■章タイトル

   ※(第二章の続きから)フェードイン

   ※章タイトルを表示する

   ※フェードアウト

■宮島 森に囲まれている坂道 夏 夜

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※フェードイン

【光大】「ああ、くそ。相変わらずこの坂はきついぜ」

   高校の先の道路にある山道を、俺とよっしーは進んでいる。
   傾斜が急であり、体力のあるものでも登りきるのは難しい。
   それにすっかり日も暮れている。街灯もなく真っ暗で、何かが出てもおかしくはない。
   例えば、殺処分されたシカたちの……いやいや、そんなことを考えたら、本当に出てきてしまう。

【葦貴】「コ――――――ウ――――――! 待ってよ――――っ!」

   喚くような声で、よっしーが叫ぶ。
   いつの間にか俺との距離が離れており、小さく見える。やはり小太りには相当きついようだ。
   俺もきついけど、そうはいっていられない。カエと先に行った乙愛が心配だ。
   今はそっちが最優先だ。

【光大】「悪いが先に行く!」
【葦貴】「そんなぁ――――っ!」

   ――すまん、よっしー。
   そう思いながら俺は、坂の頂上を目指してひたすら漕いで行く。

   ※横ワイプ(さっと暗くなる)

■宮島 坂道の頂上から見える炎 夏 夜

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※横ワイプ(さっと表示)

【光大】「!」

   坂の頂上から見た景色は、信じられないものであった。
   カエの家によく見る景色――杉の浦の団地の景色が赤く染まっている。
   まさにこれから地獄へ向かおうとしている。
   これも、ポルターガイストの力なのか?

【光大】「……急がないと!」

   ※フェードアウト

■宮島 杉の浦地区 団地入口 夏 夜 家が燃えている

   ※フェードイン

【光大】「ひでえ……」

   この言葉しか思いつかなかった。
   間近で見ると本当にひどい。
   団地にある様々な家が炎にのまれている。
   壊滅というに相応しい惨状だ。
   宮島にいる警察と救急隊も駆けつけている。しかし、人手が足りず、消防車も1台だけで、困難な状況になっている。

【光大】(花楓……花楓は無事なのか!?)

   俺は立ち止まっている人や、手当てを受けている人を見回す。
   だが、花楓の姿はどこにもいない。
   それに、

【光大】(あいつもいない……)

   乙愛の姿もない。あいつはここまで来たのか?
   キョロキョロと辺りを見回す
   すると、

   ※立ち絵を表示しない

【???】「花楓――――――――っ!」
【警察(男)A】「お、落ち着いてください!」

   人ごみの奥から、花楓と呼ぶ声が聞こえてくる。
   あの声はもしかして……。

【光大】「すいません、通ります」

   俺は人ごみの中を通り、最前列へと行く。

【光大】「おばさん!」

   ※立ち絵を表示しない

【???】「こうくん……」

   やはり、花楓の母親である、花澄(かずみ)おばさんだった。
   立ち入り禁止のテープによって、団地の中に入るのを禁止している。
   おばさんは涙にぬれた双眸で、俺を見つめる。

【光大】「花楓がどうか、したの……?」

   ※立ち絵を表示しない

【花澄】「花楓が……あの子がまだ、家の中に……う、うわあぁぁ――――――っ!!」
【光大】「!」

   花澄おばさんはその場で泣き崩れた。
   おい……うそだろ……。
   おばさんの言葉が、俺を悲しみの底へと突き落としていく。
   頭が真っ白になっていく。

   ※警察(男)Aの立ち絵を表示。通常

【警察(男)A】「キミ、この人の知り合いかい?」
【光大】「!」

   言葉を失うわけにはいかなかった。

【光大】「え……ええ、そうですが。あの、この方の娘さんは……」

   警察官は顔を横に振る。

   ※警察(男)A、悲しい

【警察(男)A】「この状況だともう……。我々と消防隊は探すことはせずに、事故処理として済ませるつもりだよ」
【光大】「……!」

   こんな状況だからって……簡単に諦めんなよ。
   一ミリの可能性まで賭けて人を助けるのが、おまえらの仕事だろうが!
   こんなのが、日本の治安を持っている奴らなのか。政府といい、警察といい……。
   俺の心が怒りで満たされていく。


   ※警察(男)A、考え込む

【警察(男)A】「しかし、あの女性は無事なのだろうか?」
【光大】「え?」

   ※警察(男)A、考え込む

【警察(男)A】「ああ。めずらしい服を着た学者っぽい女性が、我々を押し切ってこの中へ入ったんだ」

   ※警察(男)A、呆れる

【警察(男)A】「まったく、何の用で入ったのやら。これじゃあ死に行くようなもんだよ」

   ※警察(男)Aの立ち絵を表示しない

   乙愛のことか!
   中に入ってポルターガイストに接近しているのか?
   くそ。めんどいのに、ほっとけられない。
   警察がやらない以上……柄じゃないけど、行くしかない。

【光大】「……おばさん、俺に任せて」

   ※立ち絵を表示しない

【花澄】「こう、くん……?」

   俺は背負っている竹刀を手に取る。

 ※横ワイプ(さっと暗くなる)



■宮島 杉の浦地区 団地入口 竹刀をふる光大 夏 夜 家が燃えている

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※横ワイプ(さっと表示)

【光大】「やああああああっ!」

   ※竹刀をふる音

【警察(男)A】「うわあああっ!?」

   ※画面が上下に揺れる
   ※尻餅をつく音

   ドンッ!
   警察は思わず尻餅をつく。

【警察(男)B】「ちょっと君、何のつもりだ!?」

   ※横ワイプ(さっと表示)

■宮島 杉の浦地区 団地入口 羽交い絞めされる光大 夏 夜 家が燃えている

   ※このシーンはCGで表現するため、立ち絵を表示しない
   ※横ワイプ(さっと暗くなる)

   ※つかまえる音

   ガシッ!
   もう一人の警察官が俺を羽交い絞めする。

【光大】「離せよ! 花楓とあの女を助けに……」
【警察(男)B】「諦めるんだ! この状況じゃあ、もう二人は助かって……!」
【光大】「そうやって、勝手に決めつけて言い訳にしているだけだろう! 命を助ける者なら、最後の瞬間まで諦めてんじゃねえよ!」
【警察(男)B】「だめだ! 君の命まで犠牲にするわけにはいかない!」
【光大】「うぐぐぐぐっ……」

   ※竹刀を落す音

   カラカラン。
   しまった。
   くそ……抵抗するけど、なかなか思うようにならない。
   どうすれば……。

   ※フェードアウト(さっと暗くなる)

■宮島 杉の浦地区 団地入口 夏 夜 家が燃えている

   ※フェードイン(さっと表示)
   ※葦貴の立ち絵を表示。バテている

【葦貴】「こ、コウ〜」