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アインシュタイン・ハイツ 302号室 藤井祐一

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『仕事』の始まり −アインシュタイン・ハイツ302号室−



 夕飯を片付け終えた祐一は野良電波探知機を使い、インターネットへアクセスしていた。
 具体的には、知人のIDを探して音声チャットにアクセスしていたのだ。
『はーい、こちらジェニオさんですよ。どうした、ユウ。最近連絡多いじゃないのさ。頼んでた録画でも送ってくれんのか?』
「それもしてる。してるから、ちょっと待ってくれ」
 祐一は自宅のDVDで録画した映像データを纏めたものをフォルダから取り出すと、Zip形式にまとめたフォルダごとジェニオ宛に送りつける。『残り時間三〇分』と、当たり前のように長めの時間が提示された。
『うーん、長いなぁ…もうちょっと早くならんのかね、これ』
「野良電波の無断使用の時点で違法なのに、無茶いうな」
 祐一はため息を付いて、暫し考える。
 本当にこんな事を世界でも指折りのプロフェッショナルに頼んでいいものかどうか。
 しかし、他に伝手もない。
 誰かを紹介してもらうにしても、ジェニオを経由する必要があった。
『餌をよこしたってことは、なんか頼みが有るんじゃないのか、ユウ』
「…お見通しか」
『遠慮すんなよ。お前のお陰で随分稼がせてもらったしな、多少のことなら融通するよん。あ、勉強するって言うんだっけ、日本語では?』
「融通すると勉強するは微妙に意味が違う。金は取るのかよ」
『オイオイ、ユウ。元バディで半人前以下とはいえ、お前もプロなんだから、繋がりはあってもビジネスライクに行かないとイカンのよ。師匠からの愛のムチと思いなさい』
「何がムチだ。…仕方ない。凄くくだらないことを承知で、頼みが有る」
 そして祐一は、平田健の話を切り出した。