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リンドウノミチヤ
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KYRIE Ⅲ  ~儚く美しい聖なる時代~

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第3章 降臨~Kyrie 2~




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 遥か頭上で銃声が聞こえた。公爵夫人は足に痛みを感じて目を開いた。目の前に木の葉と土に塗れた男の顔があった。何故統也がここにいるのだろう、もう私の前から去っていった筈なのに。彼女はぼんやりと考えつつ数センチ先の男の頬を触った。統也の顔は蒼白で、苦しげな息の下から何かを呟いている。パーカのポケットごしに何かが触れた。夫人が探ると、それはサファイアの指輪と、そして小さなチップだった。車のエンジン音と、複数の人間の足音が聞こえてくる。彼女は身を固くし、もう片方の手で地面を探ると、指先に銃身が触れた。これは統也が持っていたものだろうかと思いつつ夫人は弾倉を確認した。一発残っていれば充分だ。近づいてくる足音に混じって男の声が聞こえた。

「夫人、ご無事ですか!?」

 聞き覚えのあるその声に夫人は微かに溜息をつき、そして数時間ぶりに自分が自由の身になった事を知ったのだった。