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理由

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ついでに思い出せばあいつの親はどっかの社長でその後を継がせるために俺をいい大学に行かすため塾に通わせたり習い事な通わせたりしてるんだって自分で言ってなと思い出した。

今よくよく思ったら俺には分からないが親からのプレッシャーとかがあったのかも知れないし、受験シーズンということで少しシビアになっていたのかも知れない。

でもあそこまで怒らなくてもいいじゃないか?俺は何回もそう思ってた。

予備校が終わっても俺はすぐ帰る気にはなれなく駅周辺でうろついてた。ムシャクシャしたこのモヤモヤをはらしたかったが中々はれなかった。

そんなとき駅前で一人座りながらギター弾いて歌ってる人がいた。普段だったら絶対通り過ぎてたし、音楽のジャンルも好みではないからと言って無視してたがそのときの俺はなんとなく時間でも潰そうか程度の気持ちで少し離れた場所で聞くことにした。

生演奏なんていままでプロの演奏さえも聞いたことはなかった。せいぜい学校の音楽のテストや合唱コンクールとかのピアノぐらいしかなかった。

聞きいるつもりなんてまったくなかったし、なんで売れてさそうなのに歌ってるんだろうとか思って聞いていたら両耳を通り頭へ伝わり俺の心をつかんでいた。

たまたま聞いてたその曲は俺と親友について歌ってるような歌詞だった。仲が良くて悪くなってしまうけど何気ないことで仲直り出来るよ。そういう内容だった。

その曲とあと2、3曲聞いた後俺は立ち上がり走り出した。あいつの家へ。


もっとよく考えれば俺がもっと気を使えば良かったことだ。それにしょうもなかった今はそう思う。

あいつの家に着きインターホンを押し母親が出てきたがあいつを呼んで欲しいと頼み玄関前まで出てきてくれた。

「なんだよ夜遅く家の前まで来て」
俺は思ったことを言った。
「ごめん悪かった」
その一言と悪かったと思ってる部分をひたすら一方的に喋り続けた。

言い終えたら向こうから
「ごめん俺も悪かった」
と向こうも思っていたことを打ち明けてくれた。
それから少し、なんであんな喧嘩をしたんだろうって話とかまったく関係ない話を笑いながらしていた。


別れた後俺は思った。大学生になったら何しようとか考えてなかったけど、大学に入ったらギターを習って歌上手くなって作曲できるくらいやってみようと。


あのときの路上で歌ってた人みたいに人の心を動かせるそういうことがしたい。歌の素晴らしさをみんなに知ってもらいたい。




それが俺の目指してる『理由』である。

作品名:理由 作家名:WT