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ひづきまよ
ひづきまよ
novelistID. 47429
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サキコとおっさんの話2

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■本日、雨降り。

 憂鬱な天気の夕方、やはりいつものようにサキコとおっさんが定位置に居た。慣れたようにサキコはスマホぼちぼち、おっさんはタバコの煙を燻らす。今日は風があまり無かった。
「毎日ここで携帯いじって、おもしれぇか?」
 コンビニ店員はこの二人に慣れているのか、全く気にしない様子でゴミ箱の掃除中。
「別に」
「視力悪いだろお前」
「コンタクトしてる」
 そか、とおっさんはぼんやりと曇り空を見上げた。
「おっさん彼女いんの?」
 ほぼおっさんから話しかける感じだが、めずらしくサキコから質問をしてきた。
「いねーよ」
「だろうね」
 返事をしたのにすぐ納得したように言い返され、半ばむっとする。変わらずスマホから視線を離さない。
 本日何度目だろう。吸い終わったタバコを吸い殻入れに放る。ジュッ、と火が消える音が聞こえてきた。サキコはそれをチラっと見て、「うまい?それ」と興味なさそうに問う。
「癖みたいなもんだ」
「おっさん、早死にするね。年だから気をつけた方がいいよ」
「あぁ!?まだ三十代なんですけど!」
 ムキになっておっさんが怒り出した。
 それでも彼女は微動だにしない。
「今日のご飯何?」
 そして急に話題を変えた。話の道筋が不明すぎて、ついていけない。
 男の一人暮らしなので、そんなに色気のあるものは食べなかった。どうしようかなと指摘されて考えた。自宅の冷蔵庫の中身を思い出しながら押し黙る。
 むしろほとんどコンビニや弁当屋の持ち帰り。珍味と酒だけだったりもする。
「何にすっかな」
 お互いぼんやりとどうでもいい会話をしていた。
「こないださぁ、カップ焼きそば買ったんだけどー」
「ん?」
「蓋半分くらいにするじゃん。あれをさぁ、ぼーっとしてて半分以上開けちゃって」
 あぁ、あれね・・・。
 おっさんはまたタバコに火をつける。サキコはジェスチャー込みで離し続けた。これをこうね、という具合に。意外におしゃべり好きなようだ。
「やっばー、間違ったよーって思って押えながら湯切りしたのね。そしたら中身がびしゃー!!ぼとぼと!!っていっちゃってさぁ。排水溝にばっしゃー!ぶちゃー!!ってなったのよ」
 言いたい事は十分分かるんだが。
「何だよそのぶちゃー!って。気色悪い効果音だな」
「そんな感じしたんだもん。んで半分以上ダメんなった。おっさんも気をつけたほうがいいよ」
 カップ麺でもいいな・・・と夕ご飯についておっさんは思う。
 その焼きそばの話を聞いてから、彼はそれが食べたくなった。よし、と吸い殻入れにまたタバコを突っ込む。
「決めた。カップ焼きそばにするわ」
「え?」
「飯」
 話の効力か分からないが、無性に食べたくなったようだ。買ってくるわ、とおっさんが動き出す。そして店内に入り、適当な物とカップ焼きそばを買ってサキコが座るベンチへ戻ってきた。
 ほっそりした脚をぷらぷらさせながら、彼女は「良かったじゃん、今日のご飯決まってー」と笑顔を向ける。言いながら彼女も空腹に襲われてきた。同時に彼女の愛用のスマホのメール着信音が鳴り響く。
「母さんからだ」
「心配してんだろ。早く帰れ」
 メールの画面に目をやると、えー!と叫ぶ。
「カレーだって言う!まじでー・・・?」
「はは、三種類の肉カレーか。いいな、スタミナ付きそうじゃん」
 親元から離れているおっさんにとっては、少し羨ましく思えた。
 もちろんサキコにはそんな気持ちは、まだまだ分からないだろう。
「帰ろー。抑え気味にして食べる事にするよ・・・」
 さすがに鶏肉豚肉牛肉入りのカレーは彼女にとってはきついようだ。そうしとけ、とおっさんは車に乗る。気をつけて帰れよと言うと、サキコは「またねー!」と手を振る。
 時計はやはり午後の二十時前を示していた。

 帰宅したおっさんは同じように湯切りに失敗し、結局近所の弁当屋で焼肉弁当を購入。
 翌日サキコに大爆笑されていた。