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幻影のメサイア episodio.0

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第一章「運命を背負いし少女」



チュンチュン・・・・チュンチュン・・・・バサバサ・・・・・。

少女「・・・う、うううん・・・・・ふあああ・・・・・また、あの夢?・・・・。」

鳥の囀(さえずり)りが聞こえる日常。少女は眠りから覚め、大きくあくびをする。

少女「いつもあの夢を見るけど・・・でも・・・・あの夢は・・・・どこか・・・・懐かしいような気がするようなんだけど?・・・・・・・。」

少女は普通の夢とは何か違うと思っているが、それは何なのかは彼女自身も知らない。
階段を下りると楽しく談話する家族がいた。

家族「わいわい・・・わいわい・・・がやがや・・・がやがや・・・。」
少女「おはよう。つみき。」
つみき「おはよう。桜(さくら)。今日もいい天気ね。」
桜「うん。今日もいい天気ね。あっ、今日はこのパン美味しそう・・・・いただき・・・・。」
つみき「あ、ちょっと、着替えてから食べなさいよ。」
桜「あっ!・・・う、うん、わかった。ま、まってね・・・・・きゃっ・・・ぎゃふんっ!!?。」
つみき「ああ・・・・また転んだ・・・・・。」
つみきの叔父「おいおい・・・・。」
つみきの叔母「ふふふふ・・・・。」

急いで着替えようとしてずっ転ぶ桜。それを見て呆れるつみき。その様子を暖かく見回る老夫婦。

タッタッタッタッタッタッタッ・・・・・・・・・。

つみき「いくわよ。桜。」
桜「あー、まってよ。つみき。って、きゃっ!!?。」
つみき「あ~あ・・・・また転んだ・・・・大丈夫?。」
桜「う、ううん・・・大丈夫だよ・・・・・それより学校!?。」
つみき「はいはい。さあ、行こうか。」
桜「うん。」

学校へ向かう二人。その様子を見送る老夫婦。しかし、どこか悲しげな表情をしている・・・・・。

つみきの叔母「あの子が来てから・・・・もう10年になりまね・・・。」
つみきの叔父「そうだな・・・・『あの事件』が起きてからの・・・・・高町さん達が亡くなったのは・・・・・。」
つみきの叔母「そうですね・・・・けど、あの子がこの家に来たときは元気はなくなっていたけど・・・つみきのおかげで元気になりましたわ。」
つみきの叔父「あの子もあの子なりに頑張っているからな・・・私達もあの子も支えなきゃならないからの・・・・。」
つみきの叔母「そうですね・・・・あの子の笑顔を見たら、何か元気になりますわ・・・。」

どうやら桜の家族が10年前の事件で亡くなっていたが、桜は親戚の老夫婦に拾われて、何不自由も無く育っていったようだ。

彼女の名は高町 桜(たかまち さくら)。今は柏木 桜(かしわぎ さくら)となっているが、親戚である柏木(かしわぎ) つみきと一緒に暮らしており、平穏な日常に送る普通の少女であった。
しかし、たった一枚のタロットカードによって、彼女の運命を大きく変える出来事が待ち受けていた・・・・。

作品名:幻影のメサイア episodio.0 作家名:kimutake