夜風荘☆青夜【壱】
夏を詠う②
【金銀砂夜】
君よ知るや 南の国は 花のごとく
星海に降る きらきらと降る
【かはたれ星】
かはたれの 空に向かいて 還る人
我が頬ぬらせし あさき夢みし
※かはたれ星…明け方に見える明けの明星
【たけくらべ】
庭に咲く 育ち盛りの 向日葵と
追いつけ追い越せ この子たけくらべ
【真実は闇の中】
海底（わたどこ）の 闇に沈みし 真実を
海神（わたつみ）哀れと 腕（かいな）に抱く
【呼子鳥】
木霊する 姿無く鳴く 誰を呼ぶ
鳥哀れなる 緑立つ森で
※呼子鳥…鳴き声が人を呼ぶように聞こえることから
カッコウやホトトギスの異称かといわれる
【月下美人】
射千玉（ぬばたま）の 月をさらいし 群雲（むらくも）に
咲くに咲けぬと ぼやく月下美人
※群雲…にわかに群がり集まる雲
【夕化粧（ゆうげしょう）の花】
黒染めの 黄昏浮かぶ 紅の赤
君がため装いて 待つ夕化粧
※夕化粧…おしろい花の異称