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風のごとく駆け抜けて

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今の私は無気力そのものだった。




目覚めると台所へ行き、御飯を食べる。


でも、食欲はほとんど無く、食べても吐いてしまうことも何度もあったし、食べないこともしばしばあった。


一日のほとんどをカーテンを閉め切った部屋で過ごし、もう家からも随分と出ていない。

そもそも、時間の概念がまったくと言っていい程無かった。


起きていると晴美のことを思い出し、涙が溢れて泣き崩れ、泣き疲れたら寝てしまう。寝ていてもお腹が空いたら目を覚まし、少しだけ食べ物を口にして、また泣き崩れ疲れて寝る。



そんな日々をもう何日過ごしたのだろう。


携帯電話は通夜から帰って来て電源を切ってしまった。
テレビも新聞も見ていない。


今となっては、今日が何月何日なのかすら分からなくなっていた。


家族とも何日も会話をしていない。
一度両親が私を病院へと連れて行こうとしたが、頑なに拒否をした。




「晴美のいない世界なんかに出たくない!!」




私が泣きながら大声で叫ぶと、それっきり両親は何も言わなくなった。

走ることも勉強もすべてがどうでも良くなっていた。
このまますべて辞めてしまおうかと思った。



 学校も、部活も、勉強も、走ることさえも。


目が覚めた時にふと思うことがある。

本当はみんなで私を騙しているのではないだろうか。
晴美はいつもと変わらず、今日もマネージャーとして忙しく活動しているのではないかと。

でも、それが自分で自分を誤魔化すための嘘だと気付き、結局私は泣き始めるのだ。

だって本当にそう思っているのなら、私はとっくに部活に出ているはずである。


それをしない……。
いや、出来ない自分は、やはり晴美が亡くなったと言うことを事実として認識しているのだと思う。


でも、それを現実として受け入れることが出来ないのか。
いや、それも違う気がする。

「晴美のいない世界なんかに出たくない!」

両親に向かって叫んだ一言。
それが本心のような気がしていた。

きっと私は怖いのだと思う。

部屋から出て現実を見ることが。

こうして部屋に閉じこもっていれば、晴美との思い出に浸っていられるし、現実を見なくて済むのだ。



 そう思いながら、私は泣き疲れまた眠りに落ちて行く。
 もう、一生このままでも良いかと思っていた。
 やはり晴美のいない人生なんて考えることは出来なかった。





 しかし、現実の方が足音を立て、私の所へやって来た……。