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ちーたま

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毎朝、私の両手、いや両腕には猫が居る。
彼等の名前はちーたま。

4年前に近所のお庭で産まれ、産毛状態の時、家にやってきた。
子猫では飛び越えられないであろう深めのダンボールの奥から、
「あたち、チーズ。あなた誰?」と鼻の黒い三毛が言い、
「ボクはたまご君です、人形なのでボクを拾ってもしょうがないですよ。」と白黒の二毛は緊張して言う。
しばらくして、疲れて寝てしまったチビ達の横で私は、その日が公務員試験であることを
忘れ、いや忘れた振りをして、
「今日、いまから行っても試験間に合わないね?」、「受けなくても良い?」
と答えるはずも無い子猫に喋りかけた。

チーズは面倒くさそうに、丸くしていた体を伸ばし、くわぁ〜、と大きなあくびをした。
たまごは人形のふりをしてピクリとも動かない。

と、そこに同居している彼が近くの職場からお昼休みのために帰ってきた。
彼の実家には猫が10匹、今回で12匹、「よしミルクを買いに行こう」となった。
ちなみに私の実家にはたぬきが1匹、孔雀1匹、犬1匹、猫0匹である。

普段、買い物に出かけるのは億劫な私だが、ペットショップの帰りには、新しい何かに
心が踊り、無意識にスキップしていた。


作品名:ちーたま 作家名:TRANSPARENT