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真朱@博士の角砂糖
真朱@博士の角砂糖
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ことばが 動かなく なるまで

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【宇宙を手に入れた話】


 町の小さな雑貨屋で見つけたその不思議な物に、私は一瞬で心を奪われた。試験管を短く切って逆さにしたような形をしていて、その中には複雑で美しい部品。
「それは真空管だよ」
 じっと見つめていると背後から店主が声をかけてきた。
 真 空 管
 声を出さずにそっとつぶやいてみる。
「そのガラスの中が真空になっているんだ。真空ってわかるかい?」
 首を横に振ると店主はにやりと笑った。
「宇宙だよ、宇宙。」
 まるでないしょ話のように彼は声をひそめた。
「真空管は小さな宇宙なんだ。そのガラスの中は誰にも侵されない。空気の無い世界にとじこめられた、美しい世界だよ。」

 かくして私は、小さな宇宙を自分の手のひらの上に手に入れた。
 
 私は店主から真空管を購入し、店を出た。 
 日は既に沈みすこし肌寒い。
 見上げた夏の星空はいつも通りの遠さから私を見下ろしていた。
 真空管をかかげ、ガラス越しに細い月を見る。
 
 私は宇宙を、とじこめた。