キスをした
キスをした
～登場人物～
山崎 藍(やまざき あい)
伊藤ひとみ(いとう ひとみ)
佐和 美香(さわ みか)
３人はいつも一緒に居る親友。
担任(たんにん)
ひとみ母(ひとみ母)
夕方、辺りはまだ明るい
学校では帰る生徒や部活動に向かう生徒それぞれ居る。
それを教室でボーッと見つめる少女が居た
少女の名前は伊藤めぐみ。
教室にはめぐみと私しか残っていない
私はめぐみに話があるって言われて残っているのだ。まあ、相談とかだと思う。
「ねえ、私って変？」
外を見つめながら私に問いかけるめぐみ。
急になんだろう、と思う私。
変ってどんな変？変わってるとかそういう意味？それとも、
髪型とかの変？
ついつい私は考え込んでしまう。
「ねえってば、聞いてる？」
ばっちり聞こえていますよーめぐみさーん。
「どういう意味の変？」
「変わってる…とかの変」
なるほど、変わり者の変？か……
…だね、めぐみは変だと思う。
でも、それは悪い意味ではないと思う。けして人と変わってるとかの変じゃない……なんかの変。
「変だと思う」
「…私は変かー」
「うん、でも人と変わってるとかじゃないけど」
「たとえば、どんな？」
そう言われると分からない。
たとえば？ってなんて言えばいいんだろう
「分からない」
そう言うとめぐみは笑いだす
「やっぱ私変じゃないね！」
意味がわからない……どっちなんだろう？
「どっちかと言うと藍の方が変わってるよ～」
「どうして？」
「だって、藍って…人と変わってるじゃん」
それはめぐみでしょって！
「だって、藍はなんか本みたいなんだもん」
えっ、本みたいって何？
「この前行きなり、‘今日の空色は晴れ、すがすがしい天気だ’なんて言ってたじゃんっ」
それって本みたいなの？まあ、確かに人よりかは変だと自分で思ってる。
「てか、悩んでるのこれだけ？」
「違うよ！藍…私もしかしたらさ…」
「もしかしたら？」
めぐみは少し照れくさそうに下を向いたり、私の目を見たりする。
なにっ、じれったい。
そろそろ苛立ちが心に来る
「もしかしたら、なに？」
もう一度聞いてみる
だけどめぐみは答えない、それどころか余計に頬を赤くしニヤニヤている。
「もうっ！やっぱ言えなーい！」
とめぐみは叫びながら私をバシッと叩いてくる。
なんだ、コイツッ
と私は思いつつも、軽く微笑で返す。
「もしかして、彼氏とか？」
私はめぐみに問いかけてみた。
この照れくさそうな感じは絶対男関係だと思った。
だが、めぐみは首を横に振る。
じゃあなんだ…好きな人とか？
「好きな人とか？」
するとめぐみは口をぎゅっ結び、首を縦に振った
ああっ、当たってたんだ。
そうかー、このめぐみがねー。
「へーそうなんだ、だれ？」
「ちょっ、すぐ言えるわけないじゃん！！」
驚いたような顔をして、でも少しにやけているめぐみ。
「それに、言えたら苦労してないって」
そうなんだ、とっ、言うことは私が知ってる人だなぁ。
「ふーん…同じクラスなんだ」
「うん……」
少し気まずそうに、下を向くめぐみ。
「友達の仲じゃん～、良いなよ」
「無理無理無理無理！」
今日のめぐみはなぜかガードが堅い…
「じゃあ…めぐみと仲いい人？」
「うん、とっても仲いいよ」
ほほう…めぐみと仲良い男の子……。
小嶋雄大かな？
「小嶋雄大？」
すると、めぐみはいきなり笑いだす。
「違うよ～、あれは絶対ない！」
「えー…じゃあ誰？」
「もー、いいじゃん！誰かなんて！！ね？帰ろう？」
「……」
逃げようとしてるな…コイツめ。
「大体、なんで好きな人知りたがるのかな～、人って」
「応援したいとか、じゃないかな？後は、友達の事は何でも知りたいとか？」
「…藍は……私の事知りたいの？」
「そりゃ…知りたいよ」
何をそんなに嬉しそうに…。
「そんな事言われたら照れる～」
オーバーリアクションをとりながらめぐみは席を立つ。
ガタン―という音と共に椅子が倒れる。
「もー、どんだけ元気あるのさー」
「だってぇ～」
「ぶりっこしない」
「てへっ☆」
正直にうざいと思った。ふと、時計を見ると７時をまわっていた。外もいつのまにか暗くなっていた。
「じゃあ、帰るか～！！藍っ」
「そうだね」
結局その日は、藍の好きな人を聞けないまま帰ることになった。
昨日はあんなに清々しい朝を迎えたはずなのに、今日はどんよりした朝を迎えた。
学校の支度をして、私は家を出た。まだ、中学生がぞろぞろと登校している時間だ。私達高校は９時から始まるので、同じ制服の人を見かけることはまったく無い。
「藍、おはよう！」
「えっ…めぐみ？おはよう、今日は早いんだね」
「まーね…でも藍、学校来るの早すぎない？まだ７時５０分だよ？」
「家、近いからね」
私の家は、歩いて５分でつく。ギリギリに出ても走れば間に合う距離だ。でも、両親が早くから仕事なので私も結局早くに家を出ないといけない。
「うらやまし～！」
「ところで、どうしてめぐみが早く学校にいるの？」
すると、めぐみの目つきが変わった。真剣そのものみたいな…。
「藍に少しでも早く会いたかったから」
少し、トーンを低くしてめぐみは言った。
「なに、そんな真剣に言ってるの～？」
「真剣だよ？私…藍の事……愛しているから」
「えっ」
私は少し戸惑った。友達だからって愛してるなんて言葉は言わない…それに、目の前に真剣なめぐみを見ていると、冗談と思えなかったから。
少し静かな空気が流れると、めぐみはフフッと笑った。
「冗談だよ～！何そんな固まってるの～」
だっ、だよね！冗談だよね、と言いつつも私はとても動揺していた。
「おっかし～、藍ってば…動揺しすぎ」
「めぐみの演技が凄かったから！」
「そう？じゃあ私、将来は女優さんだねっ」
「めぐみが出てるドラマとかみたくな～い」
ひっどーいなんて、言いながらもあははっと笑うめぐみを見てたらさっきまでの気持ちが消えていった。
お昼に私は急にお腹が痛くって、５時限目は保健室で休むことになった…原因は食中毒らしい。
「藍さん、ゆっくり休んでね」
「はい」
ああ、退屈な時間を過ごすんだな～と思った。腹痛なので眠る事は出来ない……携帯も運悪く教室。退屈と痛みと闘う時間になりそう。
大体、１０分が過ぎた頃だろうか…ガチャッと保健室のドアの開く音がした。おっ、訪問者～と思ったら。
「先生…あの……相談があるんですけど」
聞きなれた声が聞こえた。
「あの…、藍って寝てますか？」
「ええ、さっき見たけどちゃんと眠っていたわよ？藍さんがどうしたの？」
「いえ…あまり藍に聞かれたくないので……」
絶対、めぐみだ。私に聞かれたくない悩みって……なに？私は少し寂しい感情に襲われた。私に聞かれたくない…悩み……。怖いけど、聞いてみたい気持ちが勝った。もし…私の事が嫌いなら、その悪いところを変えていきたいと思ったから。ところが、しばらくしても、めぐみは口を開かない。
「どうしたの？」
～登場人物～
山崎 藍(やまざき あい)
伊藤ひとみ(いとう ひとみ)
佐和 美香(さわ みか)
３人はいつも一緒に居る親友。
担任(たんにん)
ひとみ母(ひとみ母)
夕方、辺りはまだ明るい
学校では帰る生徒や部活動に向かう生徒それぞれ居る。
それを教室でボーッと見つめる少女が居た
少女の名前は伊藤めぐみ。
教室にはめぐみと私しか残っていない
私はめぐみに話があるって言われて残っているのだ。まあ、相談とかだと思う。
「ねえ、私って変？」
外を見つめながら私に問いかけるめぐみ。
急になんだろう、と思う私。
変ってどんな変？変わってるとかそういう意味？それとも、
髪型とかの変？
ついつい私は考え込んでしまう。
「ねえってば、聞いてる？」
ばっちり聞こえていますよーめぐみさーん。
「どういう意味の変？」
「変わってる…とかの変」
なるほど、変わり者の変？か……
…だね、めぐみは変だと思う。
でも、それは悪い意味ではないと思う。けして人と変わってるとかの変じゃない……なんかの変。
「変だと思う」
「…私は変かー」
「うん、でも人と変わってるとかじゃないけど」
「たとえば、どんな？」
そう言われると分からない。
たとえば？ってなんて言えばいいんだろう
「分からない」
そう言うとめぐみは笑いだす
「やっぱ私変じゃないね！」
意味がわからない……どっちなんだろう？
「どっちかと言うと藍の方が変わってるよ～」
「どうして？」
「だって、藍って…人と変わってるじゃん」
それはめぐみでしょって！
「だって、藍はなんか本みたいなんだもん」
えっ、本みたいって何？
「この前行きなり、‘今日の空色は晴れ、すがすがしい天気だ’なんて言ってたじゃんっ」
それって本みたいなの？まあ、確かに人よりかは変だと自分で思ってる。
「てか、悩んでるのこれだけ？」
「違うよ！藍…私もしかしたらさ…」
「もしかしたら？」
めぐみは少し照れくさそうに下を向いたり、私の目を見たりする。
なにっ、じれったい。
そろそろ苛立ちが心に来る
「もしかしたら、なに？」
もう一度聞いてみる
だけどめぐみは答えない、それどころか余計に頬を赤くしニヤニヤている。
「もうっ！やっぱ言えなーい！」
とめぐみは叫びながら私をバシッと叩いてくる。
なんだ、コイツッ
と私は思いつつも、軽く微笑で返す。
「もしかして、彼氏とか？」
私はめぐみに問いかけてみた。
この照れくさそうな感じは絶対男関係だと思った。
だが、めぐみは首を横に振る。
じゃあなんだ…好きな人とか？
「好きな人とか？」
するとめぐみは口をぎゅっ結び、首を縦に振った
ああっ、当たってたんだ。
そうかー、このめぐみがねー。
「へーそうなんだ、だれ？」
「ちょっ、すぐ言えるわけないじゃん！！」
驚いたような顔をして、でも少しにやけているめぐみ。
「それに、言えたら苦労してないって」
そうなんだ、とっ、言うことは私が知ってる人だなぁ。
「ふーん…同じクラスなんだ」
「うん……」
少し気まずそうに、下を向くめぐみ。
「友達の仲じゃん～、良いなよ」
「無理無理無理無理！」
今日のめぐみはなぜかガードが堅い…
「じゃあ…めぐみと仲いい人？」
「うん、とっても仲いいよ」
ほほう…めぐみと仲良い男の子……。
小嶋雄大かな？
「小嶋雄大？」
すると、めぐみはいきなり笑いだす。
「違うよ～、あれは絶対ない！」
「えー…じゃあ誰？」
「もー、いいじゃん！誰かなんて！！ね？帰ろう？」
「……」
逃げようとしてるな…コイツめ。
「大体、なんで好きな人知りたがるのかな～、人って」
「応援したいとか、じゃないかな？後は、友達の事は何でも知りたいとか？」
「…藍は……私の事知りたいの？」
「そりゃ…知りたいよ」
何をそんなに嬉しそうに…。
「そんな事言われたら照れる～」
オーバーリアクションをとりながらめぐみは席を立つ。
ガタン―という音と共に椅子が倒れる。
「もー、どんだけ元気あるのさー」
「だってぇ～」
「ぶりっこしない」
「てへっ☆」
正直にうざいと思った。ふと、時計を見ると７時をまわっていた。外もいつのまにか暗くなっていた。
「じゃあ、帰るか～！！藍っ」
「そうだね」
結局その日は、藍の好きな人を聞けないまま帰ることになった。
昨日はあんなに清々しい朝を迎えたはずなのに、今日はどんよりした朝を迎えた。
学校の支度をして、私は家を出た。まだ、中学生がぞろぞろと登校している時間だ。私達高校は９時から始まるので、同じ制服の人を見かけることはまったく無い。
「藍、おはよう！」
「えっ…めぐみ？おはよう、今日は早いんだね」
「まーね…でも藍、学校来るの早すぎない？まだ７時５０分だよ？」
「家、近いからね」
私の家は、歩いて５分でつく。ギリギリに出ても走れば間に合う距離だ。でも、両親が早くから仕事なので私も結局早くに家を出ないといけない。
「うらやまし～！」
「ところで、どうしてめぐみが早く学校にいるの？」
すると、めぐみの目つきが変わった。真剣そのものみたいな…。
「藍に少しでも早く会いたかったから」
少し、トーンを低くしてめぐみは言った。
「なに、そんな真剣に言ってるの～？」
「真剣だよ？私…藍の事……愛しているから」
「えっ」
私は少し戸惑った。友達だからって愛してるなんて言葉は言わない…それに、目の前に真剣なめぐみを見ていると、冗談と思えなかったから。
少し静かな空気が流れると、めぐみはフフッと笑った。
「冗談だよ～！何そんな固まってるの～」
だっ、だよね！冗談だよね、と言いつつも私はとても動揺していた。
「おっかし～、藍ってば…動揺しすぎ」
「めぐみの演技が凄かったから！」
「そう？じゃあ私、将来は女優さんだねっ」
「めぐみが出てるドラマとかみたくな～い」
ひっどーいなんて、言いながらもあははっと笑うめぐみを見てたらさっきまでの気持ちが消えていった。
お昼に私は急にお腹が痛くって、５時限目は保健室で休むことになった…原因は食中毒らしい。
「藍さん、ゆっくり休んでね」
「はい」
ああ、退屈な時間を過ごすんだな～と思った。腹痛なので眠る事は出来ない……携帯も運悪く教室。退屈と痛みと闘う時間になりそう。
大体、１０分が過ぎた頃だろうか…ガチャッと保健室のドアの開く音がした。おっ、訪問者～と思ったら。
「先生…あの……相談があるんですけど」
聞きなれた声が聞こえた。
「あの…、藍って寝てますか？」
「ええ、さっき見たけどちゃんと眠っていたわよ？藍さんがどうしたの？」
「いえ…あまり藍に聞かれたくないので……」
絶対、めぐみだ。私に聞かれたくない悩みって……なに？私は少し寂しい感情に襲われた。私に聞かれたくない…悩み……。怖いけど、聞いてみたい気持ちが勝った。もし…私の事が嫌いなら、その悪いところを変えていきたいと思ったから。ところが、しばらくしても、めぐみは口を開かない。
「どうしたの？」