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Da.sh Ⅱ

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汗中のデモンストレーション


 彼らは、ゲーム感覚で事に当たっているような気がする。
 木村俊介。瞬く間に架空会社のホームページを起ち上げるとともに、日付を改ざんしたブログに、多くの感想を書き上げた。その後、ホシノテックに不正アクセスし、人柄や趣味・特技なども含めた人事情報を手にした。それにしても、ホームページの写真はどうしたのだろうか、楽しい雰囲気を散りばめた、眺めているだけでもウキウキしてくるような内容。それらを短時間で作り上げてしまう俊介君の、頭の中はどうなっているのかと思う。
 それに、オレ以上にパソコン操作に通じているということだ。といっても、パソコンなどの機器から離れた暮らしをしていたのだから仕方がない、と自分で自分を慰める。


 架空会社。それは、株式会社夢未来工房、という。
 所在地は東京都青梅市。資本金1000万円、となっている。代表者は聞いたような名前で、西田俊行。私のことだ。従業員8名。少数精鋭の新進企業である。
 基本理念、“あなたの夢の実現のお手伝いをします。生物型ロボットは言うに及ばず、例えば、ドラえもんのポケットのようなもの。どこでもドア、のようなものが作れないか、と日夜研究に励み、失敗を重ねながらも挑戦を続けています”
は、ちとなぁ。

 所在地を青梅市としたのは、彼らが知っている空き家があり、そこに会社の表札とポストを掲げても、疑う者はいないだろうから、という理由だ。

 リーダーは浜崎明良。筋骨隆々、体力には自信を持っているようであり、ぶっきらぼうではあるが沈着冷静であり、何か惹かれるところのある、男好きのする男である。
 金銭面は、渡辺守が管理する。几帳面であり、ふたりとは違った雰囲気の、生真面目な面を持っているようだ。
 かかった経費は、すべて彼に申告する。といっても、必要な物はすべて彼らの内の誰かが調達して来てくれる。オレは今、彼らの事務所から外に出ることもなく生活しているのだが、それにかかる経費も加算してすべてオレの借金として計算されることになっている。
 もし失敗したら・・・。
 ちなみに財布は戻ってきたが、5000円ほどあった金はオレの弁当代と相談料として消えてしまった・・・ホームレスの生活をしている間に、考えがせこくなってきているのだろうか。そしてやはり考える。
 もし失敗したら・・・、と。
 
 空になった財布を逆さまにして、振っては溜息をついている様子を見た明良君が、公園の段ボールハウスからオレの私物を回収して来てくれた。源さんにも必要な時には、協力をしてもらう手はずを整えてくれている。
 驚いたことに、あまり喋ることのなかった光圀さんは、手品の達人なのだそうだ。
作品名:Da.sh Ⅱ 作家名:健忘真実