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放課後シリーズ

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 杉浦祥吾は迷っていた。小学校の頃からサッカー一筋、中学ではキャプテンを務め、地区代表選手に選ばれたこともある。高校もサッカー部に入ろうと決めていたが、遥明のサッカー部は全国的に有名で部員数も多く、スポーツ推薦枠で入学してきた生徒が半分以上を占めていた。チラリと見るだけでも、一人ひとりの実力の高さがわかる。一般入試で入った上に、地区大会上位入賞程度しか経験していない身では、準レギュラーになるのさえ至難の業に思えた。三年間、ただレギュラーを獲るためだけにサッカーをするのは、何だか虚しい気さえする。杉浦はサッカーが好きだが、プレイを楽しみながら試合の緊張感を味わいたいのであって、ポジション争いに終始したいわけではなかった。
「どうするかなぁ」
と金網越しにグラウンドを見ながら、杉浦は独りごちた。




 小橋は適当に部活を見学して回った。見学者が少ないところは、とりあえず避ける。見学、即、入部になりかねないからだ。男子校はそこのところが容赦ない。
 覘いた部活はどれもこれも似たり寄ったりな雰囲気で、入ってもいいと思えるほど魅力的でもなかった。だんだんと部活巡りも飽きてくる。一緒に回っていたクラスメート達は運動部へと流れたが、小橋はそれに付き合わず分かれた。
 小橋は学食(学生食堂)に入り、缶ジュースを買った。一通り見て回ったし、入部するにしても今日で決める必要はない。終わりのHRまで、学食で過ごそうとイスに腰を下ろした。
 持ち歩いていた部活紹介のパンフレットを見るとはなしに見ていると、視界を小橋の日常では見慣れない格好の、上級生と思しき生徒が横切った。紺色の袴姿。小橋の目は物珍しげにその上級生を追う。
――剣道部かな?
 袴と言えば剣道部しか思い浮かばない。何にしろ自分には縁のない部活だ。小橋はパンフレットに目を戻した。
「おい」
 誰かが誰かを呼んでいる。自分に向かってのものだとは思わない小橋は、聞き流した。
「おーい」
 少し大きくなって、今度は小橋の気を引くには充分だった。顔を上げて見回す。左右両隣や真後ろに人の姿はない。やはり自分を呼んだものではないのだろうと思い直した時、一列空けて向かいに座る生徒と目が合った。
「自分や、自分」
作品名:放課後シリーズ 作家名:紙森けい